5Gと生きていく:新たな挑戦の時代

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5Gネットワークの登場は、無線テクノロジーにおける重要なブレークスルーであり、ソフトウェアベースの仮想ソリューションと、クラウドベースのアーキテクチャーへのシフトを示す画期となりました。一方で、この転機にはいくつかの課題が伴い、従来型のネットワーク管理やデプロイ手法からの発想の転換が求められます。

オペレーターは、物理インフラから仮想インフラへ、中央集約型のネットワークアーキテクチャーから分散型のネットワークアーキテクチャーへとシフトしつつあります。その結果オペレーターは、エッジコンピューティングやネットワークスライシングなどの新しいユースケースと先進テクノロジーがもたらす複雑さとの対峙を余儀なくされています。これを乗り越えなければ、5Gネットワークの強化されたネットワーク機能を活かした革新的サービスを創出し、投資に見合った収益を確保することはできません。

これらの課題が際立つのは、5Gネットワークが未曾有のデータ量を生成する膨大な数のコンポーネントで構成され、高度に複雑化しているからです。最適なパフォーマンスとカスタマーエクスペリエンスを維持するには、常時監視と自動化が必要です。ビジネスで成功するには、ネットワーク分析の領域における市場の細分化と独自のソリューションに関する問題を克服する必要があります。

これらの問題を解決するのが、3GPPで定義されたNWDAF(Network Data Analytics Function)による、5Gコアネットワーク上での標準ベースのデータ分析です。NWDAFを使用すれば、既存のデータ分析ソリューションを補完するインサイトを提供できます。

NWDAFでは、これらの懸念事項に対応するために、データ分析機能を提供できる標準化されたAPIレイヤーが定義されています。APIコンシューマーは、任意のNF/AFやOAM(運用・管理・保守)システムである場合があります。

NWDAFは、コアネットワークデータを収集し、機械学習(ML)を使用して15の構成済みメトリックか、3GPPで定義された分析AIインディケーターを生成します。これらは絶えず変化するネットワーク状況への適応や、オペレーターのオブザーバビリティ向上のために使用されます。

NWDAFのデータレポジトリの図

NWDAを使用すれば、機械学習(ML)モデルを使用するデータ分析もできます。3GPP標準では、実用的インサイトの取得にMLモデルを活用できる、以下のような幅広いユースケースが定義されています。

  • B2Bや低レイテンシ用にネットワークスライスをインスタンス化
  • NFの動的スケーリングでネットワークの自己修復を実現
  • スライスロードバランシングで動的に変化する容量要件とリソース要件を満足
  • UEのモビリティと通信データ
  • QoS(Quality-of-Service)の持続可能性データ

Elasticには、これらの課題への対応に最適なソリューションを提供する、パワフルなデータ分析ツール群があります。それを補完するのが、APIレイヤーと、NWDAFによって生成される主要インディケーターであり、それらとMANO統合による自動化の組み合わせです。

業界での取り組みの主流がクローズドループ自動化によるネットワーク管理とサービス保証に傾きつつある中で、NWDAFを避けて通るのはほぼ不可能です。

このブログでは、NWDAFの機能とElasticを組み合わせて高いフレキシビリティとスケーラビリティを備えた堅牢なソリューションを提供するべく、Elasticが進めているWilabとのコラボレーションを取り上げます。

Wilabの紹介

ElasticとWilabのコラボレーションにより、ネットワークエンジニアが複雑な統合に煩わされることなく、エンドツーエンドでネットワークのオブザーバビリティを得られるUIが誕生します。このUIを使用すれば、異常検知、予測、複雑なMLフローを数クリックでデプロイしたり、データを他のネットワーク機能に公開してアクションをトリガーするかたちで最終的に自動化のループを閉じたりできます。

ElasticとWilabのオブザーバビリティネットワーク

Wilabは、すべての3GPP標準メトリックに対応し、レガシーネットワーク(4G)やMANO統合を通じた自動化トリガーのメトリックなどの非標準メトリックの標準化に取り組んでいます。

あらゆるネットワークデータに対応し、ベンダーに依存しないソリューションを1つ持つことは、任意のネットワークへの迅速な実装、ネットワーク保証とカスタマーエクスペリエンス保証の改善、スライシングのような5Gの機能を活かした新しいサービスの提供を可能にするために欠かせません。

両社はともに何年にもわたって事前定義済みユースケースのライブラリを充実させてきました。現在このライブラリは、エンジニアなら誰でもオブザーバビリティ、分析、または自動化のユースケースを作成するために使用できます。

ElasticとWilabの協力

Elastic とWilabは、5Gネットワークにおけるソフトウェアベースの仮想ソリューションへのシフトに関連する課題の克服に役立つような先進的なソリューションを提供するための、ビジネス上の協力関係にあります。このパートナーシップでは、以下の領域に重点が置かれています。

  • 自動化:ElasticのソフトウェアソリューションとWilabのNWDAFを活用して、ネットワーク管理の効率化と運用コストの削減を進められる、高度な自動化機能を提供します。
  • 分析と調査:5Gネットワークへのスムーズな移行のための、移行に関連する問題の調査や、データ移行プロセスに関するインサイトの取得を支援します。
  • サブスクライバー中心の分析:サブスクライバーの行動と好みに関するインサイトを取得したり、カスタマーエクスペリエンスの改善につながるパーソナライズされたサービスを提供したりするのに役立つ、リアルタイムのサブスクライバー分析機能を提供します。
  • カスタマー保証とネットワーク保証のための先進的なソリューション:ネットワークのパフォーマンスとユーザーの行動をエンドツーエンドで可視化して、ユーザーエクスペリエンスに影響が及ぶ前に問題を特定して解決できるようにします。
  • 解約予測:潜在的な解約リスクを特定し、解約を予防するための対策を講じるのに役立つ、解約予測モデルを提供します。
解約リスク分析の例
解約リスク分析の例

協力のメリット

ElasticとWilabのパートナーシップは、5Gネットワークのオペレーターにいくつかのメリットをもたらします。ここでは主なメリットをいくつか紹介します。

  • ネットワークのエンドツーエンドのオブザーバビリティ:ElasticのソフトウェアソリューションとWilabのNWDAFを活用することで、ネットワークのパフォーマンス、ユーザーの行動、潜在的な問題に関するインサイトを取得し、ユーザーエクスペリエンスに影響が及ぶ前に問題を特定して解決できます。
  • ユースケースのレポジトリと定義:ネットワークの管理と最適化のための新しいソリューションとアプローチの開発に役立つ、ユースケースのレポジトリが提供されます。このレポジトリを新しいプロジェクトの出発点として使用すれば、開発をスピードアップしたり、コストを削減したりできます。


ベンダー非依存とレガシー統合:ベンダーに依存しないアプローチでネットワークの管理と最適化を実現できるので、オペレーターは多様なベンダーとレガシーシステムを自由に利用できます。これにより、既存のインフラストラクチャーを活用したり、新しいソリューションを高い柔軟性とコスト効率で統合したりできます。

NWDAFが含まれるネットワーク図
NWDAFが含まれるネットワーク図
  • カスタマイズ可能ですぐに使える豊富なユースケース:固有のニーズに合わせてカスタマイズ可能な、すぐに使えるユースケースが豊富に揃っています。これらのユースケースは、ネットワークスライシング、ハンドオーバーテスト、サブスクライバー分析など、多種多様なネットワーク管理/最適化のシナリオをカバーしています。
  • AI/ML搭載の自動化への道:ネットワーク管理を効率化して運用コストを削減できる、AI/ML搭載の自動化への移行を視野に入れることができます。ElasticのソフトウェアソリューションとWilabのNWDAFを活用することで、ネットワークを最適化したり、上質なユーザーエクスペリエンスを提供したりするのに役立つ高度な自動化機能へと進化していけます。

ElasticとWilabを選ぶ理由

5Gネットワークを監視するのに必要なデータ量の膨大さをふまえると、データを管理、分析するための高いフレキシビリティとスケーラビリティを備えた堅牢なソリューションの存在は欠かせません。WilabとElasticは、これらの課題を解消するのに最適なソリューションを提供します。

Elasticは、5Gネットワークで生成される高度に複雑なデータを処理できるデータ分析ツール群を提供しており、Wilabは、データを収集し、構成済みメトリックを生成し、それをネットワーク機能/操作に利用するためのインターフェイスを提供しています。これらのソリューションを組み合わせることで、ネットワーク保証、カスタマーエクスペリエンス保証、自動化を改善して革新的サービスを創出できます。

検索インテリジェンスで通信の潜在的価値を引き出す手法については、こちらをご覧ください。Wilabとのパートナーシップの詳細については、こちらから直接Elastic Telcoチームにお問い合わせください。