金融サービスにおけるオブザーバビリティへの取り組み:Société GénéraleおよびMicrosoftとのパネルディスカッションを要約

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データのサイロを越えて可視化されることは、ほとんどの金融機関にとって看過できることではありません。膨大な数の従来のシステム、膨大なデータ量、変化する規制要件、そして新しいテクノロジーにより、組織におけるオブザーバビリティの実践はますます難しくなっています。では、チームの生産性を向上させ、費用を削減し、意思決定におけるインテリジェンスを高めるために、テクノロジーリーダーは投資の優先順位をどのように考慮すべきなのでしょうか?

Elasticの直近の金融サービス向けウェビナーでは、金融サービスのテクノロジーおよび事業分野で重役として活躍するパネリストたちを迎え、このトピックやその他のトピックについて話し合いました。パネリストの紹介:

  • Martin Moeller、Microsoft西ヨーロッパ支部金融サービス業界部門エグゼクティブ兼銀行部門リーダー
  • Thibaut Barrault、Société Générale監視アプリケーションマネージャー
  • Stéphane Lopes、Société Généraleテクニカルアーキテクト
  • Francesco Di Stefano、Elasticシニアソリューションアーキテクト

この日、パネルグループからは素晴らしい指摘や提案が数多く上がりました。本記事ではその一部をご紹介いたします。

AIおよび機械学習は成功するために不可欠である

人工知能(AI)や機械学習(ML)は業界内でよく取り上げられる話題ですが、それらの価値は今もなお金融サービスにおいて認識されています。人工知能によってユーザーは検知機能を活用し、予測機能を改善し、膨大な量のデータから意味を見出すことができます。オブザーバビリティソリューションが提供する独創的なツールにより、今後のイベントを予測し、他のAIテクノロジーとの統合が頻繁にできるようになります。「これらの機能の多くは自動的に提供されるため、これらのテクノロジーを使用するための専門知識は必要ありません。」とDi Stefano氏は述べます。

Société Généraleのチームにとって、人工知能はIT環境を最適化させるのに重要な役割を果たしています。「当社では機械学習を用いて問題を予測し、分析を行い、ITエコシステム全体で特定のしきい値に達するかどうかなどを予測しています。」とBarrault氏は述べています。また、同社はこのテクノロジーがサイバー攻撃の検出にも幅広く活用されていることも理解しています。

Moeller氏はまた、構造化データと非構造化データを結びつけることで、顧客は新しいユースケースでAIによって価値が高まったことを実感している、と述べています。「人工知能により、ユーザーは人間の能力をはるかに越えるレベルで、かつ、全く異なる環境においてデータを深く理解することができます。」とMoeller氏は述べています。 Microsoftは、セキュリティ、知能プロセスの最適化、市場調査などの分野で人工知能が爆発的に普及しているのを目の当たりにしています。

柔軟性、スケール、経済性はこれまでにないほど重要になっています。

優れたオブザーバビリティプラットフォームを形成するのに最も重要な要素のひとつは、柔軟性だとBarrault氏は述べています。プラットフォームはユースケースすべてを対象とし、組織とともに成長する必要があります。そのためには、既存のテクノロジーと将来のテクノロジーが融合する必要があるのです。優れたオブザーバビリティプラットフォームには、新しいビジネス上の問題が発生したときに、組織がそれに立ち向かえるような柔軟なアーキテクチャが備わっているべきです。

スケーラビリティもまた、金融サービスにおいて非常に重要です。「当社の焦点は膨大な量のデータ、特にトレースやメトリック、アプリケーションパフォーマンス監視におけるデータの課題です」とDi Stefano氏は言います。オブザーバビリティソリューションは、迅速かつシームレスに拡張する必要があります。だからこそ、Société GénéraleはElasticを銀行向けの「サービスとしてのオブザーバビリティ」として展開しており、ユーザーはエコシステムの監視に役立つソリューションを迅速かつリーズナブルに構築することができるのです。このソリューションによって、ユーザーは専用のインフラストラクチャーを設定することなく、自信を持って問題を予め検出することができます。現在、本サービスは銀行の800を越えるアプリケーションで、2,000人以上のユーザーによって利用されています。

金融機関がIT予算を温存する方法を模索する中、リソース配分を可視化することも重要です。Société Généraleはアプリケーション全体の利用状況を評価し、時間の使われ方や、それらのアプリケーションのコストおよびパフォーマンスを確認しています。徹底的な評価を行うことで、これはSociété Généraleが「コストを最適化できる分野とリソースを節約できる分野を特定できるようにする」とLopes氏は述べます。Société Généraleがこの情報を分析する方法についてのベストプラクティスを確立することで、同社のビジネスパートナーは投資および優先順位付けに関連する意思決定を行うことができます。

データ主権、コンプライアンス、クラウドの関係性

金融機関にとって、コンプライアンスと規制への配慮は常に最優先事項です。膨大な数の機密情報の保存と保護については、業界基準に従って行わなければなりません。「GDPRなどの規制を考慮しなければならず、時間が経過しても銀行がコンプライアンスを遵守していることが非常に重要です。」とBarrault氏は述べます。組織はパフォーマンスを犠牲にすることなく、費用対効果の高い方法で情報を格納できるソリューションを考えなければなりません。たとえば、ユーザーが情報を安全に取得するのは難しいと感じるような方法であってはなりません。

アプリケーションをデプロイし、クラウドにデータを保存する方法とタイミングについて、金融業界では盛んに議論が交わされています。Moeller氏は、Microsoftがデータセキュリティとコンプライアンスに関して顧客とやり取りしてきた方法についていくつか述べました。Moeller氏によると、クラウドではデータの安全が確保されるだけでなく、Microsoftのようなクラウドプロバイダーは、データ主権や地域のコンプライアンス基準を確実に遵守するための多額の投資も行っています。Microsoftは現在も新しいデータセンターを世界中で展開しており、大多数の顧客の信頼を維持するために定期的に規制機関と話し合いを行っています。

「Elasticは、管理体制が整った安全な方法でデータを維持するための包括的なソリューションを提供します。金融機関は必要な情報を得たうえで、機密性や規制要件に基づいてデータの保管場所を決定することができます。弊社のソリューションを活用すれば、機密情報や個人情報を自社で保管して厳格な規制を遵守できる一方、急速に増加する可能性のある機密ではないデータに対して、費用対効果の高い拡張性のあるクラウドストレージを使用することができます。これにより、組織はデータを管理し、個人情報や機密情報が適切に保護されていることを保証することができます。」とDi Stefano氏は述べます。

FSIがクラウド戦略を進化し続けるうえで、自社の、ハイブリッドなマルチクラウド環境全体で情報を検索・分析することができ、合理的にデータを別の場所に移転させることができるオブザーバビリティプラットフォームを考えることが重要です。

クライアントにより良い成果をもたらすための提携

パネラーが話し合ったように、オブザーバビリティソリューションでは企業全体のデータを収集し、中心的な見解を見出す必要があります。このデータから価値を生み出すために、人工知能や機械学習などの成果主導型の機能が組み込まれている必要があります。しかしそれよりも重要なのは、この分野に投資し、金融機関全体の最新の傾向を把握しているパートナーと提携することです。

Azure上でデプロイされたElasticは、さまざまな機能を提供します。Azure市場でサービスを利用することで、金融サービスで長年にわたり指導的立場にあり、マーケットイノベーションの最前線を担うMicrosoftと提携することになります。Azure上のElasticなどのサービスを活用することで、FSIは大規模な経済的メリットを活用しつつ、イノベーションが発生したときは素早くインスタンスを立ち上げることができます。MicrosoftとElastic、およびそれらを拡張する方法、ITエコシステム全体でより高度で先を見越した可視性を実現する方法については、の詳細をご覧ください。