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"Kibana Lens"登場:手軽で直感的なデータ探索

"Kibana Lens"が登場しました。簡単かつ直感的な操作性を備え、Elastic Stackでのデータ可視化や探索を大きく前進させる新機能です。

データをリアルタイムに可視化・操作できるKibanaは、何百万人ものユーザーを抱えるプロダクトです。今回、ベータ版でKibana Lensがリリースされました。簡単かつ直感的に、すばやくElasticsearchデータのインサイトを取得することができます。Lensの強みは、使いやすさと可視化のベストプラクティス、そして柔軟性です。データフィールドをウインドウにドラッグ&ドロップして可視化を作成する、シンプルな操作設計となっています。またスマート提案機能を搭載し、データを新しいスタイルで可視化する提案が表示されます。チャートの種類やインデックスパターンをすばやく切り替えることができ、途中でスタイルを変更するなどフレキシブルに使えます。Lensを使えば、Kibanaでデータを分析する作業がかつてないほどシンプルに、そして楽しいものになります。 

Kibana Lensはデフォルトの配布に含まれ、ユーザーに無料で提供されます。Elastic Stack 7.5でLensはベータリリースとなります。リリース日よりElastic CloudElasticsearch Serviceでお使いいただくことができ、ダウンロードもできます。

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色、イロイロ。これまでの歩み

KibanaはElasticsearchを使った開発作業のUIとして設計され、「エンジニアによる、エンジニアのための」プロダクトとして誕生しました。やがて多くの開発者が、Elasticsearchデータの表示や検索の操作に、コマンドラインでなはくKibanaを使うようになりました。その後ElasticはKibanaに可視化とチャートの仕様を追加しました。アグリゲーションや視覚的なデータの表示といった機能が備わり、NetflixやUber、ウォルマートといった顧客企業でも、Kibanaはよく使われるデータ可視化と探索ツールとして急速に浸透しました。Elasticはここ数年、データの可視化に関するさらなる機能性について、Kibanaのユーザーコミュニティからますます多くのインスピレーションを受け取っています。大量のデータを大規模に可視化するという根本的な課題に重点的に取り組んできました。  

ElasticsearchとKibanaがますます多様なユースケースに導入されるにつれ、Kibanaもエンジニアや開発者から、アナリスト、経営者、データサイエンティストなど新しいタイプのユーザーを抱えるようになりました。その現場の多くで、Kibanaは毎日使用されています。そこでElasticは、「より広いオーディエンスに向けて、Kibanaをさらに使いやすくする」ことを考えるようになりました。 

データを探索するユーザーをどのように手助けできるか、検討を開始したのは今からおよそ2年前のことです。データ可視化の作業についてElasticが長年蓄積してきた知見を活用し、ユーザーが適切な作業を実施するための「新しい何か」が必要だとElasticは考えました。すばやい操作性や、より多種類のチャートへの対応、複数のインデックスパターンのデータを組み合わせて1つの可視化として表現するなどの新機能に加え、これまで以上に優れたユーザーエクスペリエンスを生み出す必要があります。 

この完全に新しいインフラを開発するにあたっては、ユーザーがデータの可視化で直面する課題や、そのソリューションについての調査に丸1年を費やしてきました。ElasticはKibanaやその他のツールを広範なシナリオで使用する多数の企業をインタビューし、データを活用するさまざまな手法とその課題の特定に努めました。 

Kibana Lensは、このような課題解決の道のりを1歩前に進める新機能です。シンプルで直感的な、まったく新しいユーザーエクスペリエンスを備えており、ユーザーは大量のデータをリアルタイムに、パワフルに分析することができます。

"Kibana Lens"へ、ようこそ

KibanaのLensは、複数のチャートや関数を切り替えて多元的な分析を実施し、手軽にデータを探索することができる機能です。Lensを使用すればElasticsearchの複雑なコマンドを入力する必要がありません。ユーザーインターフェースもシンプルで、ユーザーのスキルを問いません。Kibanaのユーザーならだれでも、フィールドをドラッグ&ドロップするだけでデータからインサイトを取得したり、プレビューを活用してLensがスマートに提案する別の可視化パターンを選んだりすることができます。

ElasticはElastic Stackでデータを探索するユーザーを長年観察し、4つのシンプル&パワフルなコンセプトに基づいてLensを開発しました。

データドリブン

ユーザーは、可視化を作成するとき、データのどのフィールドを使用するかを判断する必要があります。Elasticが実施したユーザーテストでは、設問に答える適切なフィールドを特定するために、ユーザーが様々な画面を行き来して操作していることがわかりました。データを分析するユーザーと、フィールド名やインデックス、マッピングを作成したユーザーが同一人物であるとは限らないので、そうした操作が大きな困難を伴うことも少なくありません。Elasticsearchの速さを活かすLensなら、フィールドを選択した瞬間にフィールドコンテンツのプレビューが表示され、コンテクストをすぐに把握することができます。フィールドの値を確認できるので、設問に答える可視化を作成するにあたって必要なフィールドかどうかを簡単に判断することができます。 

Kibana Lens displays the contents of a data field in a single click to the top values and cardinality

瞬時のプレビュー

データを可視化すれば、そのデータの理解に役立ちます。「可視化」という響きはシンプルですが、たとえば「大規模なデータセットから有意義な可視化を作成して、データの概要を示す」となれば、実際の工程は複雑です。 

Lensの目的は、ユーザーが手軽に可視化の作業を行えるようにすること。そしてさらに、可視化の最適なアプローチの方向性をガイドすることです。作業が手軽になるよう、データフィールドを中央のウインドウにドラッグすると、すぐにチャートのプレビューが表示される仕組みになっています。何か設定したり、アグリゲーションや関数を選択する必要はありません。シンプルにフィールドをドラッグして、Lensがどんな風にデータを可視化するか確認するだけでOKです。 

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スマートな提案

Elasticの調査では、ユーザーがデータを可視化する手法に共通のパターンや、効果的にデータを可視化しようとして生じる混乱のパターンがあることも明らかになりました。データを表示するチャートの選択自体が一種のインサイトであることも多く、これは重要な問題です。Lensの開発にあたっては、ユーザーに共通のパターンと、データ可視化のベストプラクティスを組み合わせることを目指しました。Lensは最初のプレビュー時に、ユーザーが選択したフィールドに基づく可視化とは異なるパターンで複数の方法をスマートに提案します。Lensの提案は、フィールドタイプやチャートの種類、ユーザーが使用するその他の一般的なパスをはじめとする複数の要素と、それらを関連度の高さで優先付けする順位アルゴリズムに基づいて行われます。スマートな提案が、チャートを見た後でユーザーに生じる疑問を解く手がかりとなったり、表示中の可視化からほんの少し角度を変えた見方を提示することでユーザーに役立ちます。各提案には、表示中の可視化とどのように異なっているかわかるような説明も付されています。こうした提案は、ユーザーのデータ用にパーソナライズした推奨の最初の1歩となっています。

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アドホック&リユース可能

どのタイプの可視化が必要なのか、作業の前からわかっていることもたまにはあります。しかしたいていの場合は、データがなければ答えられない問いがあって、とりあえず探索をはじめる、という状況でしょう。アドホックなクエリの回答を得るには、試行錯誤できるような機能が必要です。チャートの種類を切り替えてみたり、チャートに使用するデータのソースを代えてみたり、複数のインデックスパターンを組み合わせて1つの可視化に表示したりする機能も必要です。そこでLensは、より自由な方法でデータを探索できるよう設計されました。さらに、うまくいった作業を保存しておき、後からダッシュボードで再使用することも可能です。

今後の予定

Kibanaはハイペースで進化しています。ここ数年を振り返っても、イノベーションの質、量ともに驚くほどの進化を遂げてきました。Elasticはこれからも引き続き、そしてかつてないほど早いペースで、新たなユースケースに対応する新機能をKibanaに導入してゆく予定です。Kibana Lensは、「シンプルなエクスペリエンスでパワフルな機能を活用し、ユーザーがデータから有意義なインサイトを入手できるように」、というElasticのビジョンを実現する大きな1歩となりました。継続的にリクエストを寄せてくださったり、よりよいプロダクトとなるよう後押ししてくださったコミュニティのメンバー、そしてLensへのフィードバックを寄せてくださった多数のユーザーに、心よりお礼申し上げます。 

イスラエルの大手損保グループ、Harel Insurance Investments and Financial Services Ltd.はオペレーション、セキュリティ、ビジネス、マーケティングデータの可視化と探索にKibanaを使用しています。今回、Kibana Lensのリリースがもたらす可能性を歓迎し、Harel社CTOのニブ・ラズ氏は次のコメントを発表しました。「Harelは顧客に向き合う姿勢を大切にしています。各種デジタルサービスを利用する顧客にも、ポジティブな体験を確実に提供する必要があります。その目標を実現する上で役立つのがElasticのソリューションです。クリティカルな処理データを一元的に格納・分析できるだけではありません。ビジネスアナリストはKibanaをはじめとするプロダクトでデータを検索・可視化し、重要なインサイトを入手することができます。ドラッグ&ドロップのシンプルな操作で分析できる仕様や、すばやいデータプレビュー、可視化のベストプラクティスを自動的に提案する機能を備えたLensがリリースされたことを、大変うれしく思います。さらに早期にデータを活用し、顧客のニーズに応えることが可能になるでしょう」 

Elasticにおいても、Lensのリリースは大きなマイルストーンとなりました。今後もLensの継続的な開発と改善を予定しています。ロードマップの優先事項としては、サポートするチャートの種類の拡充や、スマート提案機能の向上、サポートする関数の拡充、カスタマイズ機能の拡充などがあります。引き続きハイペースな開発を進めると同時に、"データ可視化"の領域のフロンティアを開拓することで、ますますシンプルかつパワフルなソリューションをお届けしてゆく予定です。

Lensを使いはじめる

Elasticsearch Serviceでクラスターを立ち上げて使いはじめることも、Elastic Stackの最新バージョンをインストールして使いはじめることもできます。すでにKibanaを導入されている場合は、お使いのクラスターを7.5にアップグレードするだけで、Lensを起動していただくことができます。

Lensは、Kibanaの[Visualize]アプリに入っています。Lensで作成・保存した可視化は、他の可視化と同様にダッシュボードに追加して使用することができます。

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これからLensを導入される方に役立つリソースもあります。併せてご覧ください: