Elastic 9.5:列、VectorDBインデックスモードと自動キャリブレーション、AI主導のアラートトリアージ

本日、Elasticsearch Platformの最新バージョンであるElastic 9.5の一般公開(GA)を発表できることを嬉しく思います。このリリースには、開発者がデータをより有効に活用し、AIエージェントをより安心して構築できるよう支援することを目的とした一連の新機能が含まれており、ElasticsearchElastic ObservabilityElastic Securityの全体にわたって新たな機能が導入され、セキュリティ運用が強化されます。

The Elasticsearch Platform
The Elasticsearch Platform

Elastic 9.5の新機能

Elastic 9.5は、効率性、可視性、パフォーマンスにおけるElasticsearchの進化を継続し、エンタープライズデータをよりアクセスしやすく、有用なものにします。Elastic 9.5では、ユーザーは以下のことが可能です。

上記およびその他特徴のハイライトについて、詳しくは以下をご覧ください。

Elasticsearch

Elastic 9.5には、すべてのユーザーがより迅速に行動し、より大きな確信を持って運用し、少ない摩擦でデータからより多くの価値を引き出せるように設計された機能強化が組み込まれています。今回のリリースでは、データの格納やクエリ実行からAIエージェントの構築とガバナンスに至るまで、Elasticsearch Platformの多岐にわたる側面で革新が行われているほか、Kibanaのダッシュボードの機能強化も実現しています。詳細については、引き続きお読みください。

あらゆるワークロードに対応するマルチシグナルデータストア

Elasticは、Columnar Mode(列モード)のテクニカルプレビューを発表できることを嬉しく思います。これは、デフォルトで転置インデックスを使用せず、各フィールドを列ストアに1回だけ格納するオプトインのインデキシングモードです。これによりストレージフットプリントの大幅な削減を実現するとともに、より高速なインデキシング、分析クエリ、およびより長いデータ保持のための基盤を提供します。既存のインデックスモードと並行して提供され、API、ダッシュボード、または統合への変更は一切ありません。その基盤の上に構築されたColumnar Logs(列ログ)は、ログデータ専用に構築された最初のプロファイルです。メッセージフィールドに単一の転置インデックスを維持するため、その他のすべてのデータを全て列形式で格納しながら、全文検索の高速性を維持します。その結果、チームが信頼する検索エクスペリエンスを変更することなく、現在のログよりも大幅にストレージを削減できます。どちらのモードもオプトインであり、既存のインデックスには影響しません。

ベクトルデータベース

Retrieval-Augmented Generation(RAG)アプリケーションやエージェント型AI向けの検索を構築するチームは、通常、インデックス時に多くの設定に関する意思決定を行う必要があり、その作業は本番環境のスケールに伴って増大します。セットアップやインデックス調整の手間を省き、ベクトル検索がすぐに利用可能になるよう、次の機能を導入しています。

VectorDBインデックスモードは、単一の設定で高性能なベクトル検索を実現します。手動での設定は不要です。ベクトル用にすでに最適化されたデフォルトが適用され、量子化、マージポリシー、キャッシュの読み込みが自動で調整されるため、ベクトル検索の立ち上げが簡単になり、導入してすぐに優れたパフォーマンスを発揮します。

 

自動キャリブレーション(DiskBBQベクトル検索向け)は、インデックス内のベクトルの統計分析に基づいて、量子化深度、事前条件付け、オーバーサンプリングを自動的に構成します。通常は専門知識と試行錯誤を必要とする調整が、Elasticで開発された独自のアルゴリズムによって自動で行われるようになります。

 

マルチモーダルセマンティック検索により、開発者は画像検索をより簡単に行えるようになります。通常、画像の検索には、埋め込みのセットアップ、画像の取り込みと埋め込み、およびクエリの埋め込みが必要です。新しいセマンティックフィールドはこれらのステップを簡素化するため、ユーザーはsemantic_textでのテキスト検索と同じくらい簡単に画像を検索できるようになります。

Agent Builderのさらなる機能強化

Elastic 9.5では、本番環境向けのAIエージェントを構築する際に、開発者に優れた可視性とコントロールを提供します。Agent Observability and Monitoring(エージェントオブザーバビリティとモニタリング)はテクニカルプレビューとして利用可能で、大規模言語モデル(LLM)の呼び出し、ツールの呼び出し、推論ステップをElasticsearch内でOpenTelemetry (OTel)としてトレースします。同時に、ヒューマンインザループによる承認機能が機密性の高いアクションを制限し、各決定を監査証跡に記録します。また、開発者はダッシュボードを生成するワークフローなど、必要な機能を記述することで、チャットから直接スキル、クエリ、ワークフローを作成することもできます。Agent Builderは会話から離れることなく設定のドラフト作成、命名、保存を行うため、セットアップ時間を短縮し、背後にある設定モデルを理解する必要性を軽減します。

AI-native Kibana

9.5では、当社のDashboards & Visualizations APIが一般提供(GA)となり、プラットフォームチームに、コード内でダッシュボードや可視化を作成、更新、管理するための安定したサポート対象の方法を提供します。さらに、チャット内のダッシュボード もGAとなり、チャットの品質向上に加えてコントロールの作成や処理速度の向上を実現しています。これらの機能強化により、インサイト獲得までの時間が大幅に短縮され、ユーザーが手動でダッシュボードを構築する必要がなくなるため、明確な視覚情報への迅速なアクセスが解決までの時間を直接短縮し、インシデント調査が加速します。また、スピードが最も重要視されるユースケース向けには、トグルでオンにできるFast Mode UIにより、Dashboard and Discover(ダッシュボードと検索)でのSTATSベースのクエリを、全データをスキャンする代わりにサンプリングされたデータセット上で実行し、高い精度を保ちながら実際のスケールに基づいて結果を推計することができます。

データが存在する場所で強化された自動化

Elastic Workflows 9.5では、自動化をより迅速に構築できるようになり、実行前にワークフローの動作を正確に確認できます。自然言語による作成が一般提供開始となり、デフォルトで有効になっているため、チームは希望する自動化をわかりやすい言葉で記述し、自動的に生成することができます。バージョニング機能が組み込まれており、すべての変更を追跡し、チームが任意の2つのバージョンを比較したり、ワンクリックで正常に動作するバージョンにロールバックしたりできるため、誰がいつ何を変更したかの記録が常に残ります。ビジュアルモードでは、YAMLと並んでトリガー、ステップ、分岐、ロジックを一目で確認できるグラフとしてワークフローが表示されます。ドラッグ&ドロップ編集機能も今後提供予定です。さらに、ヒューマン・イン・ザ・ループがKibanaの外部にも対応するようになりました。ワークフローで人の承認や確認が必要な場合、一時停止してSlackなどのツールにリクエストを送信します。定型業務は自動化処理に任せ、チームは判断が必要な意思決定に専念できます。これらはElasticsearch Platformの機能であり、Search、Observability、Securityすべてで利用可能です。

Elastic Observability

Elastic 9.5は、一元的な監視の導入を迅速化し、スケールしやすくするために設計されたオブザーバビリティのアップグレード機能を提供します。Prometheusからの移行、Kubernetesのオンボーディング、クラウドやSaaSデータの接続のいずれにおいても、より少ない運用オーバーヘッドで簡単に使い始めることができます。SREワークフローの向上、マネージド統合、AI対応コンテキストにより、チームは検出から診断へとより迅速に移行できます。

ネイティブPrometheusおよびPromQLサポートが一般提供開始

9.5では、最高クラスのメトリクスによりオブザーバビリティをこれまで以上に簡単に統合できます。Prometheusリモート書き込みエンドポイントとネイティブPromQL サポートがES|QLに直接組み込まれているため、チームは長年かけて構築したクエリ言語やワークフローを放棄することなく、最小限の移行作業で既存のGrafanaダッシュボードやクエリをElasticに向けることができます。また、新しい移行ツールも一般提供(GA)が開始され、GrafanaやDatadogのダッシュボードやアラートをElasticに自動取り込みできるようになりました。これにより、最初からやり直すことなく、Elasticsearchのストレージ効率(Prometheusの最大2.5倍)や高速なクエリパフォーマンス(Prometheusの最大30倍)のメリットを簡単に活かすことができます。9.5では、新しいコーデック(ES95)がElasticsearchの列型メトリクスによる既存の大幅な効率改善をベースにして構築されており、ストレージコストをさらに約20%削減して1サンプルあたり約3バイトにまで抑えるため、ユーザーはコストを急増させることなく、より多くのサービスを監視し、メトリクスをより長く保持できます。コードとしてのダッシュボード(dashboards-as-code)やチャット内のダッシュボードとともに、これらのアップデートにより、ユーザーは単一のプラットフォーム上でメトリクス、ログ、トレースを統合し、3つすべてを横断して相関付けを行うことができ、すでに信頼しているワークフローや標準を維持しながら迅速な根本原因分析を実現できます。

AIをフル搭載した包括的な統合

ElasticのKubernetesおよびAWS向けの最新のデフォルト統合(テクニカルプレビュー)はすぐに利用可能で、数分でゼロから全面的な監視状態へと移行できます。Kubernetesモニタリングが一般提供(GA)となり、事前設定済みのダッシュボード、アラート、SLO、機械学習ジョブが同梱されています。さらに、Agent Skill(エージェントスキル)Observability MCP(オブザーバビリティMCP)アプリにより、SREがすでに使用しているMCP対応のあらゆるAIツールを通じて、正常性監視、異常検知、インシデント調査、修復が利用可能になります。これらの包括的な統合パッケージにより、チームは接続した瞬間からメトリクスの価値を即座に引き出すことができます。

クラウドネイティブデータを簡単にオンボーディング

Elasticのマネージド統合機能により、クラウドデータソースの投入に伴う運用の負担が解消されます。オンプレミスのエージェントをデプロイしたり保守したりすることなく、ユーザーは数クリックでデータの投入を開始して価値を得ることができます。「イージーボタン」の精神に基づき、セットアップフローを合理化して推奨されるOTelパスをデフォルトとすることで、KubernetesとAWSへのオンボーディングもシンプルになりました。これにより、プラットフォームエンジニアやSREは複数の画面移動や判断に迷うことなく、迅速に運用を開始できます。

強化されたAPMとLLMオブザーバビリティ

9.5では、サービスインシデントを調査するSREや開発者向けに、利便性が大幅に向上しました。アラートとダッシュボードでの依存関係分析 により、アラートやカスタムダッシュボードにサービスマップを直接表示し、コンテキストの切り替えをなくして、より迅速にトリアージを行えるようになります。APMサービスの正常性ビューで異常の表示機能が向上したことで、MLベースのパフォーマンス低下シグナルをより簡単に特定できるようになりました。

Elasticの新しいAnthropic統合(LLMオブザーバビリティ向け)は、AnthropicのAdmin APIをポーリングして、Claude APIプラットフォームの組織全体のテレメトリ、トークン使用量、コスト、レート制限の設定を、事前構築済みのKibanaのダッシュボードやすぐに使えるアラートとともにElasticsearchに投入します。

アラートの詳細ページで依存関係を直接特定できます。
アラートの詳細ページで依存関係を直接特定できます。

Elastic Security

Elastic Security 9.5により、アナリストは判断に使える時間を増やし、選別するアラートを減らすことができます。より強力なエンドポイント保護により、アラートが発生する前にさらに多くの脅威を阻止します。Attack Discoveryは、アナリストと同じように発生したアラートに対処し、実際の攻撃を浮き彫りにすることで、チームが大量の未処理アラートに埋もれて1日を始めることを防ぎます。また、その背後では自動化が実行されており、それらの調査をトリガーして機械的な作業を処理するため、判断を下すのはアナリストのままです。

Alert Zero:アラートキューから検証済みの脅威へ

Alert Zero(アラートゼロ) は、SOCにおける受信トレイゼロに相当し、エージェントとアナリストが協力して、本当に重要な情報のみにキューが絞り込まれた状態を指します。これはチームが目指す目標です。アラートがゼロであることを意味するわけではなく、アナリストを置き換えることを意味するわけでもありません。Attack Discoveryは、SOCをアラートゼロへと近づける役割を果たします。何かを攻撃と判定する前に、生のイベントから脅威を探し出し、エンティティのリスクをチェックし、最初に発報したアラートを超えて検証を行うことで、アナリストのように調査を行います。これにより、チームは大量の生のアラートに埋もれることなく、検証され、絞り込まれた攻撃のリストを確認できるようになります。ルールが見落としたものを発見すると、ギャップを埋めるためのES|QLルールをドラフト作成し、保存前にアナリストが承認できるようにします。

手動で開始されたか、定期的なサイクルで設定されたか、またはElastic Workflowからトリガーされたかにかかわらず、すべての実行は同じ調査プロセスを踏みます。別のアラート分析ワークフローがもう一方の側面からノイズに対処し、アラートを真陽性または偽陽性として分類するため、アナリストが信用度の低いアラートに何時間も費やすことがなくなり、Attack Discoveryが調査する対象をよりクリーンな状態に保ちます。

強化されたエンドポイント保護

Elastic Security 9.5では、新しいエンドポイント機能により保護が強化され、保護対象範囲がより多くのデバイスに広がります。攻撃者がカーネルに到達するために署名済みで信頼された脆弱なドライバーを持ち込む手法に対して、弊社の脅威調査チームはVirusTotalやloldrivers.io、Microsoftのブロックリストなどの公開情報ソースを監視しています。常時実行のプロセスを通じて、新しいドライバーが公開されるとElasticがYARAルールを自動生成して即座にデプロイするため、リリースサイクルを待つことなく迅速な保護体制を維持できます。AI主導の攻撃が1分未満で別のマシンへと広がることがあり、あらゆる対応ワークフローの反応速度を超える現在、このスピードが極めて重要となります。Windows on ARMがElastic Defendで全面的にサポートされるようになったことで、Surfaceやその他のARMベースのノートPCも包括的に保護されるようになりました。また、Agent Builderに追加された新しいエンドポイントトラブルシューティングスキルがポリシーやパフォーマンスの問題にフラグを立てるため、チームがエンドポイントの問題調査にかける時間を短縮できます。

SOC全体の自動化

Elastic WorkflowsはSOCにネイティブの自動化をもたらすため、検出によってエンリッチメント、ケース作成、対応を自動的にトリガーでき、別途SOARを購入、統合、または保守する必要はありません。人間は判断が必要な決定に集中できます。

見逃した方のために…

新たなスタックがリリースされる合間も、私たちはただ手をこまねいていたわけではありません。Elastic 9.4と9.5の間の期間も、決して平穏ではありませんでした。見逃した方のために、主な発表をまとめてご紹介します。

  • Jina AIのアップデート 

    • jina-embeddings-v5-omniは、画像、音声、動画のネイティブサポートによりv5-textモデルファミリーを拡張し、再インデックスを必要とせずに、単一の埋め込みスペースで4つのモダリティすべてにわたり約100言語に対応します。

    • Jina On-Premが、厳格なデータレジデンシー要件を持つチーム向けに利用可能になりました。Jina AIモデルのフルラインナップ(Reader、Embedding、Rerankerなど)をパッケージ化し、お客様自身のハードウェア上で完全に実行できます。デプロイ後は外部への通信が一切発生しない、完全にエアギャップされた環境で動作します。コストは固定かつ予測可能で、トークン単位の従量課金ではありません。埋め込みモデルは、単一の埋め込み空間で100近い言語にわたりテキスト、画像、音声、動画を検索し、一般的なハードウェア上でより大規模なモデルに匹敵する精度を実現します。

    • 弊社はjina-reranker-v3.5(jina-reranker-v3のドロップイン後継モデル)をリリースしました。jina-reranker-v3.5は、わずか6億パラメーターでありながら、判例において前モデルを50%以上上回り、医療および金融の再ランク付けでさらに精度向上を実現しており、長文ドキュメントでは最大56%高速に動作します。7倍超のサイズを持つ、広く使用されているオープンソースリランカー「Qwen3-Reranker-4B」と比較して、汎用検索および1つの構造化データベンチマークで完全に上回り、それ以外のすべての領域でも残りの格差の大半を縮めています。

  • リモートからの再インデックスがElastic Cloud Serverlessで一般提供開始となり、リージョンを問わず、あらゆるElastic Cloud Hosted導入環境やServerlessプロジェクトから自身のServerless環境へ直接インデックスを移行するシームレスな手段をチームに提供します。この操作はServerlessインフラの実態に合わせて構築されており、スケーリングイベントやソフトウェア導入によって引き起こされるNodeの停止が発生しても自動的に再開されるため、手動で介入することなく移行を継続できます。

今すぐここから開始

Elastic 9.5には、組織がデータを最大限に活用できるよう支援する新機能や拡張機能が満載されています。

Elastic 9.5の新機能はすべて、Elasticが最新リリースを提供するマネージドサービス、Elastic Cloudで今すぐ使い始めることができます。

本記事に記述されているあらゆる機能ないし性能のリリースおよびタイミングは、Elasticの単独裁量に委ねられます。現時点で提供されていないあらゆる機能ないし性能は、すみやかに提供されない可能性、または一切の提供が行われない可能性があります。

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