オブザーバビリティ
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フランス市民安全デジタル庁ANSCはElasticで緊急対応管理システムを強化

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リアルタイムの緊急対応を強化

ANSCは、Elasticオブザーバビリティを使用し、リアルタイムのパフォーマンス監視とユーザーインサイトを活用することで、火災救助サービスの対応時間が短縮されました。

デプロイメントの迅速化とトラブルシューティングの低減

迅速なアプリケーションの更新、合理化されたトラブルシューティング、大幅に向上した開発生産性、トラブルシューティングの補助によりElasticがANSCのダイナミックな環境をサポートしています。

スケーラブルかつ効果的なデータ管理

Elasticのスケーラブルなソリューションを使用して、ログ管理を最適化することで、増加するデータをうまく管理し、いち早く救命情報にアクセスできるようになりました。

ANSCがElasticのリアルタイム監視・オブザーバビリティソリューションでフランスの緊急対応を変える

Agence du Numérique de la Sécurité Civile(ANSC)は、市民安全担当大臣の監督のもと、行政サービスを提供するフランスの政府機関です。火災救助サービス、市民の安全に関わる公共サービスを担っている公私の機関など、国のサービス提供機関として機能しています。

ANSCの野心的なプロジェクト(NexSIS 18-112)は、2015年にフランスで起こったテロ攻撃の後に国の情報システムを統合する必要性が生じたため発足しました。この革新的なシステムは、さまざまな部門間での情報サイロの解消、データ管理の合理化、危機対応調整の強化を目的として開発されました。NexSIS 18-112は、火災救助の応答システムであるだけでなく、地域・国レベルの効果的な危機管理をサポートする総合プラットフォームとしても機能します。

大幅な修正を行うレガシーシステムもない、ゼロの状態から開始し、ANSCは、アプリケーションのパフォーマンスを向上させ、保護し、問題の特定を容易にするために、アプリケーションパフォーマンスマネジメント(APM)ソリューションをNexSIS 18-112プラットフォームに統合しました。

「Elasticは、アプリケーションの追跡とパフォーマンスの分析が行える一元化されたソリューションであり、ANSCのビジョンにも一致していました。デプロイメント担当者がいるため、Kubernetes環境との統合を容易に行うことができました。これは、NexSIS 18-112の管理において非常に重要でした。」

– ヤン・パスカル氏, ANSC、インフラ責任者

既存の技術スタックを統合する汎用的なプラットフォームでデータを一元化

NexSIS 18-112を開発・ローンチする際、ヤン・パスカル氏は、さまざまな機能を統合し、特有の要件を満たすことのできる単一の中央プラットフォームを調達し、デプロイすることを最優先に取り組みました。統合ログ管理とAPM機能が含まれ、さらに将来、セキュリティ情報およびイベント管理(SIEM)システムと統合ができる、オブザーバビリティを実現できるシステムに焦点を置いていました。ANSCの最有力候補は、さまざまなソリューションを調べ、その中で最も魅力的だったプラットフォームが、簡単なデプロイメント、柔軟なメンテナンス、スケーラビリティの高いモジュラーを実現してくれるElasticプラットフォームでした。もう1つ考慮した点は、ANSCデプロイメントモデルに対応するために必要なKubernetesクラスターとの統合性でした。インフラはKubernetesに大きく依存しているため、技術的なエコシステムを混乱させることなくスムーズな統合を実現できるソリューションが必要でしたが、これにはElasticのデプロイメント機能が最適でした。

ANSCのデプロイメントモデルに対応するために必要なKubernetesクラスターとの統合性がElasticを選択したもう1つの理由でした。

厳しい要件を満たすクラウドサービスを提供していることが非常に重要でした。ANSCはマネージドKubernetesサービスを提供するクラウドプロバイダーのリストからScalewayを選択しました。Kubernetesへの適用性とElastic Cloud on Kubernetes(ECK)を使用したデプロイメントにより、Elastic stackのデプロイメントを簡単に行うことができました。Elasticの導入にかかった期間は、わずか2か月程度でした。

ANSCは、消防救助サービス、市民の安全に関わる公共サービスを担っている公私の機関など、フランスのサービス提供機関として機能しています。

ANSCは、消防救助サービス、市民の安全に関わる公共サービスを担っている公私の機関など、フランスのサービス提供機関として機能しています。

「Elasticは、必要な3つの主なツールのニーズ(包括的な追跡機能、アプリケーションのパフォーマンスとセキュリティを分析するツール)を満たす統合プラットフォームです。Kubernetesクラスターへのスムーズな統合とSalewayでの迅速なデプロイメントによって、プロジェクトを速やかに完了させることができました。」とパスカルは語ります。

Elasticのオブザーバビリティスタックは技術的に互換性があるだけでなく、ユーザーフレンドリーであるため、ANSCの技術チームは迅速に導入することができました。アプリケーションのパフォーマンスを監視し、問題を速やかに解決することが可能になりました。これは、スムーズに運用するうえで、不可欠です。使いやすく、導入が簡単なElasticのソリューションは、ANSCの運用ワークフローの一部にすぐに組み込まれ、危機的状況に迅速かつ適切に対応できるようになりました。

Elastic supportで簡単に統合・デプロイ

パスカル氏は、試験運用の時点からElasticの専門サービスが提供するサポートの質を高く評価していました。「最初にチームがElasticのANSCのエコシステムへの適用方法を検討した際にアドバイスが必要でした。インサイトやソリューションなど、助けになる技術的サポートをElasticの購入前の試験運用期間中に提供してくれました。これらの早期サポートは、Elasticの可能性を判断するうえで助けになりました。」とパスカル氏は説明します。

それ以降、Elasticの専門サービスがプラットフォームのパフォーマンスの最適化をサポートをしています。「Elasticの専門サービスチームが必要な時にいつでも特定の問題の対処やプラットフォームのパフォーマンスの最適化をサポートしてくれています。」とパスカル氏は語ります。またパスカル氏は、特にインシデント管理におけるElasticのサポート契約の重要性について語っています。「Elasticのグローバルサポートを受けることで、インシデントを迅速に解決し、アプリケーションの運用が中断されるのを最小限に抑えることができました。」(パスカル氏)

サポートがあることで、他のソリューションよりもスムーズに最初のデプロイメントを行うことができたとElasticの導入についてパスカル氏は語ります。「本当の課題は、デプロイメント後で、ElasticをANSCのIT環境にどのように組み込むかということでした。カスタムダッシュボードを独自に作成し使用できるようにするためには、開発チームがソリューションをすぐに使えるようにする必要がありました。」とパスカル氏は説明します。

Elastic Stackのスケーラビリティを活用

Elasticを選択したもう1つの理由として、Elasticのスケーラビリティとパフォーマンスを低下させることなく増え続けるデータを管理する能力を挙げています。システムに統合する部署が増えるにつれて、処理する必要のあるログとデータが増えることが大きな課題でしたが、Elasticはスケーラビリティが高いため、データの量に応じて、処理能力を向上させることが可能です。

「ECKを使用することで、ノードを簡単にクラウドインフラストラクチャーに追加することができます。増える需要に対応し、プラットフォームの最適化後にスケールダウンすることが可能なため、スケーラビリティは非常に重要な要素です。」

– ヤン・パスカル氏, ANSC、インフラ責任者

さらに、Elasticのログ管理ライフサイクルを最適化する機能はANSCにとって大きな利点でした。重要なログにいつでも迅速にアクセスできることは、即座に正確な情報へのアクセスが命を救うことになる緊急サービスでは非常に重要な要素です。

積極的な監視のために必要なリアルタイムインサイトを実現

ANSCにとって、リアルタイムでアプリケーションを監視し、パフォーマンスを測定できる機能は重要でした。APMとリアルユーザー監視(RUM)機能があるElasticオブザーバビリティには、これを実現するうえで必要なツールが備わっていました。「これらのソリューションは、システムのパフォーマンスとユーザーインタラクションの深いインサイトを提供してくれるため、重要なサービスの応答時間を短縮することができる。」とパスカル氏は説明します。「開発者は、データベースコールの最適化のために頻繁にAPMを使用し、アプリケーション全体のパフォーマンスを向上させています。ユーザーフレンドリーなインターフェースにより、アプリケーションのある特定のモジュールが遅い理由を特定することができます。これは、ANSCにとって大きな利点です。」(パスカル氏)

これに加えて、ElasticのRUM機能は特に別の部門でのユーザーエクスペリエンスを理解するのに役立ちます。これは、システムレイテンシなどのユーザーから報告される問題への迅速で正確な対応において重要となります。「APMとRUMでNexSIS 18-112システムの精度を上げることで、ユーザーフィードバックに迅速に対応することが可能になりました。部門間のパフォーマンスの比較が容易になり、ネットワークの応答時間などのユーザーに関する問題を効果的に解決できるようになりました。」とパスカル氏は語ります。

ElasticsearchとKibanaのデータの可視化を合わせて使用することにより、管理チームは、リアルタイムで複雑なデータを可視化できるため、複雑なアプリケーションのインシデントに対応することができます。

「Kibanaのカスタムダッシュボードの作成を任せられるようになったことは、ANSCにとって大きな変化です。各製品チームがNexSIS 18-112内で各アプリケーションのダッシュボードを作成できるKibanaの機能を活用しています。組織とSDISスキルを統合するために、いくつかをユーザーと共有することで、より早い障害の検出と修復が可能になりました。このカスタマイズにより運用効率と意思決定プロセスが大幅に向上しました。」

– ヤン・パスカル氏, ANSC、インフラ責任者

アジャイルソリューションの強化とトラブルシューティングの低減

ANSCの業務はダイナミックであるため、迅速な適用とトラブルシューティングの低減が可能なソリューションが必要となります。この点で、ElasticのAPMとRUMシステムは重要な役割りを担っています。ANSCのアプリケーション、特にNexSIS 18-112は、2週間に1度の頻度で更新されるため、頻繁に更新と改良が行われています。Elasticのソリューションをこの頻繁に行われる試験と更新のサイクルに組み入れて、ANSCのシステムを常に最新の状態を保てるようにしています。

Elasticでトラブルシューティングを低減することで、ANSCの開発チームは最適化と導入に焦点を当てることができます。この変化により、生産性と効率が向上しただけでなく、NexSIS 18-112システムのロバスト性を維持し、緊急サービスの要求に応えることができるようになりました。

パスカル氏は、Elasticはスケーラビリティが高いため、進化していくNexSIS 18-112に対応できると確信しています。「NexSIS 18-112が拡大していくにつれて、ユーザー、アプリケーション、ログの数も増えますが、その数に応じてElastic stackを適応させることができると考えています。」(パスカル氏)また、パスカル氏は、インデックスとログのSIEM機能とライフサイクルワークフローの追加を検討しており、クラウドストレージの効率と費用対効果が高くなると考えています。「SIEMの戦略の微調整を行っており、SIEMダッシュボードを構築する予定です。Elasticのさらなる活用に向けた重要な一歩と言えるでしょう。」(パスカル氏)

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