インターネットを介した飲食店等の情報提供サービスにおいて、国内での先駆け的な存在であるぐるなびは、以前からそのサービスを支援するための大規模なICT環境を運用してきた。当然のことながら、システムから出力されるログの量も膨大なものとなり、その分析作業には大きな作業負荷と共に多くの時間が費やされていた。
開発部 エンジニアリング セクションで副セクション長を務める岩本俊明氏は、当時の状況について次のように話す。
「2016年頃は、ぐるなびでは、既に数千台規模のサーバーを保有していました。この運用で障害が発生した場合やメンテナンスの際には、ログを確認するために対象となるサーバーに直接ログインしてgrepコマンドで内容を参照したり、scpコマンドで一旦ローカル環境へログをコピーしてから対処するという手順を取っていました。このため、調査完了までに少なくとも1時間以上かかり、リアルタイム性を欠くと共に多くの手作業が発生し、見落としなどのケアレスミスも目立つようになりました。システム規模やログの量が拡大し続ける中、何らかの対策が必要になりました」
ここで浮上してきたのが、ElasticsearchおよびKibanaというElastic Stack製品だった。
Elastic Stackでは、提供される幅広い製品コンポーネントによって、対象データをローカル環境へダウンロードすることなく、複数の情報源を横断する形でのリアルタイムな高速検索が可能だ。サービスの増加・高度化に伴って、アプリケーション間でのAPIコールが多発し、複数のログを対象にした分析が不可欠となった同社にとって、Elastic Stack製品は正に最適なソリューションであった。「当時、競合製品と呼べるようなものは一切存在せず、一択の形でElasticの選定を決定しました」(ぐるなび岩本氏) 。こうして2016年からElasticsearchおよびKibanaの実運用が開始された。