よく使われている11の機械学習アルゴリズムを紹介

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機械学習(ML)は、この数年で私たちの生活に欠かせない要素として浸透しました。その影響は、ショッピングサイトやストリーミングサイトでユーザーに合わせて表示されるおすすめから、毎日大量に届くスパムメールからの受信箱の保護まで、あらゆる面に及んでいます。しかし、機械学習は単に便利さを高めるだけのツールではありません。今日のテクノロジー環境では機械学習の重要性が非常に高くなっており、この状況はしばらく変わることはないでしょう。データから秘められたインサイトを引き出したり、タスクやプロセスを自動化したり、意思決定を強化したり、イノベーションの限界を押し上げたりするために機械学習が活用されています。

このテクノロジーの中心にあるのが、機械学習アルゴリズムです。機械学習アルゴリズムとは、言うなれば、具体的なタスク向けであることを明示して作成されたプログラムではなく、データから学習するように設計されたプログラムです。情報を継続的に分析したり、構造を適応させたり、時間と共に改善したりするために使用されます。

この記事では、よく使われている11の機械学習アルゴリズムを取り上げ、その機能と用途について解説します。わかりやすくするために、次の4つのカテゴリに分類しました。

  • 教師あり学習

  • 教師なし学習

  • アンサンブル学習

  • 強化学習

この記事を読み終える頃には、機械学習アルゴリズムでできることや、各アルゴリズムの長所と短所について理解が深まっていることと思います。

教師あり学習

1.線形回帰

線形回帰は、そのシンプルさから初心者向けの機械学習アルゴリズムとして注目を集めています。線形回帰では、1つの変数と1つ以上の別の変数の間に直線形の関係が確立されます。たとえば、不動産用のツールでは、住宅価格(従属変数)と面積(独立変数)の関係を追跡したい場合があります。両者の関係性を確立するようトレーニングするにはラベル付けしたデータを与える必要があるため、「教師あり学習」に分類されます。

線形回帰は比較的単純なため、大規模なデータセットを扱う場合はとても効率的であり、出力は解釈が容易で、インサイトに富むトレンドを特定できます。一方で、その単純さが、複雑さに悩まされる理由にもなりえます。線形でないパターンが出現したせいで錯綜したり、外れ値によって簡単に頓挫したりすることがあるのです。適切な変数を慎重に選ぶことも必要です。これを怠ることで、出力の品質が大きく低下してしまう場合があります。

2.ロジスティック回帰

ロジスティック回帰アルゴリズムは、関係性に注目するのではなく、Eメールが「スパム」か「スパムではない」かなど、二者択一の判断を下す際に使用されます。ロジスティック回帰では、与えられたさまざまな要素を使用して、あるインスタンスが特定のクラスに属する確率を予測します。また、どの要素が結果に最も影響を与えるかについてのインサイトも提示します。

線形回帰と同様に、ロジスティック回帰も大規模なデータセットを効率的に扱える一方で、同じような欠点もあります。線形関係を前提としているため、複雑で非線形のパターンが原因で問題が生じることがあります。分析しているデータに偏りがあると、予測にも不均衡が生じる場合があります。たとえば、分析対象のEメールのほとんどが「スパムではない」場合、「スパム」メールを識別するのが困難になることがあります。

3.サポートベクターマシン(SVM)

SVMアルゴリズムでは、予測を行うのではなく、2つのデータクラスの間で最も広いマージン(距離)を探します。つまり、個々のメールが「スパム」か「スパムではない」かを予測するのではなく、メールをその2つのカテゴリに明確に分割するためのいわば線引きを行うのです。

SVMアルゴリズムは最も重要なデータに焦点を当て、関係のない細部に惑わされることを避けられるため、高次元空間に適しています。また、データポイントのサブセットに焦点を当てているため、外れ値に悪影響を受けることがなく、エネルギー効率が高くなります。一方で、コンピューティングコストも高く、トレーニングに時間がかかる場合もあります。また、複雑なせいで解釈が難しくなることがあり、カーネル関数に適切なパラメーターを選択する際に時間と細かい調整が必要になります。

4.決定木

決定木(デシジョンツリー)は、名前が示すとおりツリーのような構造をしており、YesかNoで答えられる質問を続けていきます。これは、最終的な答えにたどり着くまで判定を繰り返すフローチャートのようなものだと言えるでしょう。この最終的な答えとして得られたものが、予測値です。決定木は、分類問題の解決と回帰問題の解決の両方に使用される汎用性の高い教師あり機械学習アルゴリズムです。

決定木アルゴリズムの最も優れた点は、理解のしやすさです。各判定を見ることで、ロジックを簡単にたどることができます。また、柔軟性が高く、さまざまなデータタイプを扱うことができ、データが欠けていても判定を続けることができます。一方で、残念ながら過学習に陥りがちで、データの特徴の順序や選択による影響を非常に受けやすくなっています。また、変数間の込み入った関係に悩まされることがあり、複雑な問題の場合は精度が低くなります。

5. kNNとANN

近似最近傍(ANN)アルゴリズムとk近傍(kNN)アルゴリズムは、どちらも類似性検索に関連しており、機械学習においてさまざまな目的で使用されます。kNNは、トレーニングデータから類似度の高いデータポイントを見つけ、それらのカテゴリの多数決を採ることで、データポイントのカテゴリを予測します。

もっと簡単に言えば、これらのアルゴリズムはどちらも、Eコマースサイトで表示される類似商品のように、よく似たデータポイントを判別するように設計されています。どちらも、さほど前処理をしなくてもさまざまなタイプのデータを扱える汎用性の高いアルゴリズムであり、最近傍検索と異常検知に優れた力を発揮します。一方で、データが高次元の場合はどちらも苦戦し、どのようにして決定に至ったかを理解するのが難しくなることがあります。

6.ニューラルネットワーク

最新のAIツールの基礎になっているニューラルネットワークアルゴリズムは、人間の脳の構造を模倣することを目的としています。この目的のために、データ処理を通じて学習してデータ内のパターンを特定する、相互接続された人工「ニューロン」の層が採用されています。ニューラルネットワークは、パターン認識、分類、回帰、クラスタリングなどさまざまなタスクに使用されています。

ニューラルネットワークは、今最も強力で主流となっているMLアルゴリズムであり、画像認識から自然言語処理に至るまで多様なタスクを処理することができます。柔軟性も高く、生データから関連する特徴を自動的に学習できます。しかもそれを継続的に行えるため、変化に適応することも可能です。一方で、データ量がものをいい、トレーニングに膨大なデータを必要とするため、そういったデータがない場合には問題が発生することがあります。また、ニューラルネットワークのブラックボックス的な性質のせいで、ニューラルネットワークがどのようにして予測に到達するかを理解するのが非常に難しくなることがあります。

教師なし学習

7.クラスタリング

クラスタリングアルゴリズムは、類似したデータポイントをグループ化する教師なし機械学習アルゴリズムの一種です。このアルゴリズムの目的は、ラベル付けされた結果を使わずに、データ内の固有の構造を発見することにあります。これは、色、質感、形の類似性に基づいて小石をグループ化することで分類するようなものだと言えるでしょう。このアルゴリズムは、顧客のセグメンテーション、異常検知、パターン認識などさまざまな用途に使用できます。

クラスタリングは教師なし学習であるため、ラベル付きデータを必要としません。このアルゴリズムはパターンの発見に優れており、類似したデータをグループ化することからデータ圧縮にも役立ちます。ただし、その有効性は、類似点をどのように定義するかに大きく左右されます。また、クラスタリングアルゴリズムの背後にあるロジックを理解するのが難しくなることがあります。

8.異常と外れ値の検出

異常検知(外れ値検知とも言います)は、データセット内で、予想される振る舞いや「正常な」振る舞いからデータが大きく逸脱しているインスタンスを特定するプロセスです。このような異常は、外れ値や新規性など不規則な形をとる傾向があります。異常検知アルゴリズムは、サイバーセキュリティ、財務、不正行為検出のタスクなどに最適です。

ラベル付きデータでトレーニングする必要がないため、異常がまれだったり不明だったりする生データに対しても実行できます。ただし、しきい値の影響を受けやすいため、誤検知と検出漏れのバランスを取ることが難しくなる場合があります。また、その有効性は、ベースとなるデータや予想される課題をどれだけ理解できているかに左右されます。異常検知はきわめて大きな効果を発揮できますが、アルゴリズムが複雑になればなるほど、異常としてフラグ付けされた理由を理解するのが難しくなります。

アンサンブルモデル

9.ランダムフォレスト

ランダムフォレスト(ランダム決定フォレストとも言います)は、分類、回帰、その他のタスクにも使用されるアンサンブル学習の手法です。ランダムフォレストでは、トレーニングの際に複数の決定木を構築します。トレーニングセットに過剰適合しやすいという決定木の習性が、ランダムフォレストでは緩和されます。

ランダムフォレストでは、複数の決定木からなるグループを使用することで、結果の精度と信頼性が向上し、さまざまなデータタイプを扱うことができます。個々の決定木レベルで判定を分析できるため解釈は比較的容易であるものの、複雑な判定の場合は、どのようにしてそれに至ったかを理解するのが難しくなることがあります。ランダムフォレストは大量のコンピューティング能力を必要とするため、実行コストが高くなることもあります。

10.勾配ブースティング

勾配ブースティングも強力なアンサンブル手法の1つで、決定木のような弱学習器を複数組み合わせて使用します。決定木を順番に構築する反復的なアプローチで予測精度を向上させます。例えるなら、複数の学習者からなるチームがあり、各自が前の学習者の間違いを踏まえて習得し、最終的に強力な集団理解が得られるような学習です。

勾配ブースティングは、複数の決定木(または他の学習)を組み合わせることで、複雑な関係を高い精度と柔軟性で扱うことができます。また、他のアルゴリズムに比べて個々のデータポイントの影響を受けにくいため、外れ値にとても強いという性質があります。ただし、ランダムフォレスト同様、実行コストが非常に高くなる場合があります。最良の結果を得るためにアルゴリズムに必要な最適なパラメーターを見つけるのにも時間がかかることがあります。

強化学習

11.Q学習

Q学習は、特定の状態における行動の値を学習するために使用されるモデルフリーの強化学習アルゴリズムです。エージェントが迷路を進むイメージに近いでしょう。試行錯誤して学習しながら中心までの最短経路を見つける感じです。かなり単純化していますが、Q学習の本質を言い当てています。

Q学習アルゴリズムの最大の利点は、詳細な環境モデルが必要ないため、適応性がとても高いことです。また、大規模な状態空間を扱えるため、とりうる状態と行動が多数ある複雑な環境に最適です。これは優れたメリットである一方で、新しい行動の試行(探索)と既知の報酬の最大化(活用)のバランスを取るのは必ずしも容易ではありません。また、演算コストも高く、効果的な学習を確保するには報酬を細かく調整する必要があります。

エンタープライズソリューションにおける機械学習アルゴリズム

機械学習は、短期間の間に多種多様な業界でイノベーションと効率性を推進する強力なツールになりました。エンタープライズソリューションでは、複雑な問題の解決や、運用の合理化、データから有益なインサイトの取得のために、機械学習アルゴリズムを使用するケースが増えています。このブログで取り上げた11のアルゴリズムの幅広さと奥深さを考えると、そのような広い浸透ぶりもうなずけます。

Elasticでは、機械学習が備える力と可能性を十分に理解しています。企業が機械学習のメリットを設定不要ですぐに活用できるさまざまなソリューションを用意しています。ElasticsearchKibanaを使ったリアルタイムのデータ分析から、Elastic APMによるアプリケーション内の潜在的な問題の予測まで、機械学習はElasticソリューションの重要な要素となっています。セキュリティ分野では脅威の特定に異常検知を活用し、検索エクスペリエンスのパーソナライズにはクラスタリングなどのアルゴリズムを使用しています。

機械学習アルゴリズムがいかに多様で重要であるかおわかりいただけましたでしょうか。機械学習アルゴリズムを自分で活用するアイデアを1つ2つ思いうかべられたなら幸いです。機械学習とAIの世界は、これからの数年でさらに成長、進化するでしょう。活用を始めるなら、今が絶好のタイミングです。

次にやるべきこと

準備ができたら、ビジネスのデータから得られるインサイトを活用するための次の4つのステップに進みましょう。

  1. 無料トライアルを開始して、Elasticがビジネスにどのように役立つのかを実感してください。

  2. ソリューションのツアーで、Elasticsearchプラットフォームの仕組みと、ソリューションがニーズにフィットする仕組みを確認してください。

  3. 2024年のテクニカルトレンド:検索と生成AIの進化の状況をご覧ください。

  4. 興味を持ってくれそうな人とこの記事を共有してください。メール、X(旧Twitter)、Facebookで共有しましょう。

本記事に記述されているあらゆる機能ないし性能のリリースおよびタイミングは、Elasticの単独裁量に委ねられます。現時点で提供されていないあらゆる機能ないし性能は、すみやかに提供されない可能性、または一切の提供が行われない可能性があります。

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