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オートパイロット: 「検索」の力で顧客分析力を強化

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  • 29億
    ドキュメント数
  • 2.19TB
    データ量
  • 5000万
    イベント数(1日あたり)

イノベーションの高速化と柔軟性の向上

Elastic Stackを使用することで、シンプルでありながら強力なビジネス分析ツールをわずか6か月で完成。

競合他社との差別化となる新たな強みを獲得

キャンペーンと業績を関連付けられるようになり、同社のマーケティング自動化ソフトウェアがコンバージョン率アップにもたらす効果が飛躍的に向上。

パフォーマンスの向上

ロギングと監視のソリューションにElastic Stackを活用したことで、パフォーマンス上の問題の速やかな特定と解決が可能に。

メンテナンスのコストとリソースが不要に

Elastic Cloudを採用してメンテナンスはElasticに任せ、自社チームはコアミッションに注力。

オートパイロットについて

オートパイロットは、より多くの企業がマーケティングへの取り組みで高い効果を発揮できるよう支援することをミッションに掲げています。オートパイロットのマーケティング自動化ソフトウェアは、ホワイトボードのように使いやすく、ビジュアル要素を配置することで、顧客に合わせたカスタマージャーニーを作成できます。オートパイロットでは、このカスタマージャーニーを追跡、測定するための強力なツールを、Elastic Stackを使用して開発しました。Insightsと名付けられたこの分析ツールによって、それまで統一性がなく静的だったレポートが、リアルタイムのパフォーマンスデータに一新しました。オートパイロットの顧客企業は、このツールを使うことで、時系列データを可視化、分析し、意思決定の精度を高め、マーケティングキャンペーンの効果を最大限に高めることができます。Insightsは、Elastic Cloud、ファストトラッキング手法、メンテナンスの合理化を活用して、わずか6か月で開発されました。同ツールは現在、オートパイロットのソフトウェアの中核的コンポーネントになっており、Microsoft、Patreon、LiveChat、Instapage、Crunchbaseなど、世界中の企業に利用されています。

検索の力でInsightsを拡充

オートパイロットは、あらゆる規模や業種の企業がマーケティングの自動化を通じて既存顧客との関係を再度盛り上げ、新規顧客を開拓し、収益を向上できるよう支援しています。企業は、オートパイロットのソフトウェアを使用してキャンペーンを作成し、メール、アプリ内メッセージ、SMS、郵便はがきで顧客にアプローチすることができます。また、連絡先をすべてインポートして的確にセグメント化しておき、フィールドの値や顧客の行動、UTMコードに基づいてカスタマージャーニーをトリガーすることができます。

オートパイロットのソフトウェアが備える機能は、Salesforce、Zapier、Slackなどのサードパーティ製ソリューションと統合することで、さらに拡張できます。リリースから5年が経った現在は、1日あたりに生成されるイベント数が5000万に上るほど広く利用されています。オートパイロットのソフトウェアに搭載されたInsightsにより、これらのイベントはすべて追跡、測定でき、カスタマージャーニーを推進したいマーケターがカスタマーエクスペリエンスを向上し、収益の向上につなげるのに役立っています。

オートパイロットのElastic Stackストーリー

キーパーソン

Elasticを社内に最初に持ち込んだのは、上級ソフトウェアエンジニアを務めるクリストファー・ジファード氏でした。ジファード氏は前職でElastic Stackを使用した経験がありました。オートパイロットに入社した最初の週に、ジファード氏はロギングと監視のソリューションとしてElastic Stackを導入しました。

それは、オートパイロットがロギングにデータベース駆動のソリューションを使用した最初の事例でもありました。開発チームは、それまでソフトウェアを市場に投入することに全力を注ぎ、ログは中央サーバーで管理していました。ジファード氏は、ログからさらに多くの価値を引き出すべく、Elasticsearch、Logstash、Kibanaをデプロイしました。

こうして構築されたロギングソリューションにより、エンジニアやプロダクトマネージャーは、問題のトラブルシューティングを簡単に実施できるようになっています。「Kibanaは非常に優れた探索ツールです。システム内の状況を俯瞰することも、個々のエラーを調べることも容易にできます。必要な情報を収集するためのデバッグやスクリプト作成は大幅に減り、問題にプロアクティブに対処できるようになりました」とジファード氏は話します。「当社では、何か問題が生じると真っ先にKibanaを見ます。すべてをひとまとめにして根本原因を診断できるので、とても助かっています。」

オートパイロットでは、技術基盤にもElastic Stackが導入されています。ロギングソリューションの実装から3か月後、開発チームには一段と大きな課題が提示されました。

目標

オートパイロットは、企業がキャンペーンの状況や成否を把握できる、使い勝手の良い分析ツールを開発したいと考えました。当時、レポートは、多種多様なデータストアから収集される情報が利用されていて、統一性のないものになっていました。

ジファード氏はこう話します。「実にさまざまなイベントが生成されるのですが、それらをすべて集約したいと考えました。お客様がキャンペーンのパフォーマンスを長期にわたって追跡し、可視化できるようにしようと思ったのです。メールAとメールBの効果の比較のような測定だけでなく、収益の向上につながるチャネルやメッセージの特定もできるツールを目指しました。」

ツール設計の第一歩は、ベースとなるデータの分析でした。データがどこから収集されるのか、どのようにすれば追跡できるのかを理解する必要がありました。この取り組みの過程で、開発しようとしているツールにとってElastic Stackが理想的なエンジンであることがわかりました。「データはすべて時系列データでした。それらのデータをすばやく検索してアグリゲーションを生成できるソリューションが必要でした。Elasticsearchは、その基盤としてうってつけでした」(ジファード氏)。

オートパイロットのInsightsダッシュボード

背景

開発チームはこのプロジェクトに注力し、Elastic Cloudのトライアルをセットアップして新しいクラスターを作成しました。当時、オートパイロットのロギングソリューションはサードパーティのホスティングソリューションを使用して管理されていました。一方、ジファード氏らは、Elastic Cloudでホストされる直接サブスクリプションに複数のメリットを見出していました。その中でも特に、最新バージョンのElastic StackとX-Packを利用できる点を評価しました。

トライアルを開始してからわずか数週間後には、Elastic Cloudのプラチナサブスクリプションに登録していました。ジファード氏は、分析能力、簡便な管理、高いスケーラビリティなど、チームがまさに求めていたものをElasticが備えていたと話します。「大量のデータを扱う場合は、データをどのようにインデックスして格納するかを慎重に検討しなければなりません。大規模なサーバーメンテナンスを伴うからです。Elastic Cloudを採用したことで、自分たちでメンテナンスする必要がなくなり、お客様向けの機能の構築に集中できる環境が整いました」(ジファード氏)。

手法

オートパイロットのソフトウェアは、アクターモデルをベースに構築されています。アクターモデルでは、生成されるすべてのイベントに対して、アクター、アクション、オブジェクト、コンテキスト、リソースがあるため、あらゆるタイプの顧客イベントを記録できます。また、Insightsもこのモデルをベースにしており、これら5つの要素とタイムスタンプをElasticsearchで収集しています。収集したデータはバックエンドでKibanaとTimelionを使って探索され、Insightsを通じて提示されます。

具体的な仕組みとしては、企業が、生成したいイベントに基づいてキャンペーンの成否基準を定義します。基準にはニュースレターの登録率や無料トライアルの登録率などを設定できます。そして、企業はキャンペーンを実施しながら、それらの目標値への達成状況を追跡、測定できます。

Elastic Stackの導入で時系列データの分析が実現したことで、企業はコンバージョン率の追跡だけでなく、コンバージョンに結び付いた要因を掘り下げることもできます。「お客様は、発生しているイベントの数を把握し、特定のキャンペーンにマッピングすることができます。さらに、Insightsに加えて、Elasticsearchによって提供される分析能力を活用することで、キャンペーンのパフォーマンスを長期にわたって把握し、理解を深めるができます」(ジファード氏)。

方向転換

Insightsの開発にはわずか6か月しかかからなかった一方で、大がかりな調整は継続的に行われました。ベータテスト中には、Insightsに表示された当初の統計が本来の価値を発揮できず、まったく別の方法で計算する必要があることがわかりました。もともと、イベントは、記録された時点でグラフとアグリゲーションで表示されており、イベントの属性やコホートのグループ化は考慮されていませんでした。

そこで、イベントの属性が自動的に設定されるようシステムのリファクタリングが行われ、企業がキャンペーンのパフォーマンスを詳細に分析できるようにしました。たとえば、特定の日に時間帯を問わずキャンペーンに追加された連絡先のコンバージョン数を確認できます。オートパイロットはElasticの支援を受けながら、新規クエリのパフォーマンスへの影響に対処し、システムアーキテクチャのさまざまな部分を調整して、高速で安定したシステムに仕上げました。

ジファード氏は次のように話します。「クエリの設計を見直し、パフォーマンスの最適化を図るにあたって、Elasticにはかなり助けていただきました。サブスクリプションで得られるメリットは多数ありますが、サポートもきわめて価値が高いです。開発コンサルタント契約と言ってもいいくらいで、目の前に立ちはだかる懸念や制約事項を相談したり、解決に向けて手を貸してもらったりしています。」

リファクタリングの実施によってプロジェクトが水の泡になる心配もありましたが、Elasticのサポートを受けながら、オートパイロットは新しいクエリのセットアップを2週間で無事に完了できました。クラスター内でのデータ整合性を保護できるように、これらのクエリはX-Pack Securityを使用して読み取り専用に設定されました。

成果

オートパイロットの顧客企業は、キャンペーンのパフォーマンスデータに簡単にアクセスして、数回のクリックで複雑なクエリを実行し、すぐに結果を確認できます。Elasticのサポートがなければ、チームは、Insightsのパフォーマンスを現在と同じレベルにまで高めることはできなかっただろうとジファード氏は言います。「当社の理念は、昔も今も、本当に使いやすいソリューションをお客様に提供することです。Elasticのサポートのおかげで、その方針を曲げることなく、誰もが簡単に使えるビジネス分析ツールを作成できました」(ジファード氏)。

Insightsは現在、オートパイロットのマーケティング自動化ソフトウェアの主要なセールスポイントになっています。企業はこのツールを使ってキャンペーンと業績との関連を検討することができます。また、Insightsはオートパイロットの社内でも、ソフトウェアの利用状況を監視し、顧客行動データを集約するために使用されています。「おかげさまで、Insightsはお客様に大変ご好評をいただいています。これは当社にとって、さらに幅広いユースケースでご利用いただけるソリューションの設計に向けた重要なステップです。この目標を達成できるよう、一段と多くのデータをElasticsearchに投入していくつもりです」(ジファード氏)。

オートパイロットのクラスター

  • クラスター
    5以上
  • インデックス
    270
  • ノード
    19
  • クエリレート
    約20/秒
  • ホスティング環境
    Elastic Cloud(AWS)
  • 複製
    1
  • ドキュメント
    29億件。さらに1秒ごとに約100-1000件増加中
  • 時系列インデックス
    1日単位
  • 総データサイズ
    2.13 TB
  • ノードの仕様
    Elastic Cloudノードサイズ64 GB
  • 投入レート(1日あたり)
    平均14,759,427ドキュメント