オブザーバビリティの4つのメリット

統合データプラットフォームと検索AIを活用した現代的なオブザーバビリティの実現

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データに対して複雑な感情を抱くのも無理はありません。データは、アプリ、エンドポイント、ネットワーク、サーバーなど、あらゆる側面から高速で生成されています。2025年までに、世界のデータ生成量は180ゼタバイト以上に達すると予測されています。*この豊富なデータの中には、より優れた運用の回復力や収益性、革新性を実現する可能性が秘められています。しかし、毎回「実行可能なインサイト」をすぐに活用できるわけではありません。 

データは意思決定の力になるどころか、貴重なリソースを消費し、ツールや画面を行き来する非効率な分析作業に陥ってしまいます。データサイロや互換性のないデータ形式、アラートの洪水(非常に多くのアラート)に対処しなければなりません。その結果、業務に関する洞察が不完全または不正確になり、盲点が生まれます。拡張性と柔軟性を考慮して構築したアプリケーションでさえ、最終的には脆弱になり、発生する問題の診断が難しくなります。

オブザーバビリティが重要な理由

開発手法が進化するにつ監視れて、監視も進化する必要があります。そこで、オブザーバビリティの出番です。Kubernetesやマイクロサービスに基づくハイパーディストリビューションアプリケーションをサポートする技術の進化により、現代的で統一された可観測性プラットフォームの必要性が生まれました。フルスタックのオブザーバビリティにより、従来のさまざまなレガシーポイントツールを使った監視が改善され、今日の複雑なクラウド環境のデータから貴重な洞察をプロアクティブに収集できるようになります。

オールインワンの可観測性ソリューションは、従来の監視ツールに基づいて構築されており、シングルペインで可視化することができます。使いやすさは、アラートへの対応、効果的な根本原因分析、システム全体の健全性を評価するためのデータ分析機能とともに、オブザーバビリティの主なメリットの一つです。多くの運用チームは、アプリケーションの急激な増加がツールの指数関数的な増加を引き起こしていることに気づいています。しかし、誇大広告に反応しているのでしょうか? 

多くの場合、これらの新しいソリューションは新たな課題を生み出し、絶え間ない更新を必要とし、データの量は増え続けています。しかし、人工知能(AI)コパイロットと機械学習(ML)の統合により、最新の可観測性ツールの多くは、断片的なソリューションに頼ることなく、IT運用のための人工知能(AIOps)と生成AI(GenAI)の期待に応えることができるようになっています。

AI搭載のオブザーバビリティは、最新のオブザーバビリティソリューションの最先端を行くもので、オブザーバビリティとAIのすべてのメリットを提供します。アーキテクチャが複雑化する中、検索機能とAIを備えた統合データプラットフォームは、手間をかけずに盲点を明らかにします。 

AI検索を活用したオブザーバビリティが組織に適しているかどうか迷っているのであれば、最新のオブザーバビリティソリューションのメリットをご紹介します。

オブザーバビリティのメリット

無秩序に広がる分散環境で生成されるデータ量は、監視プラクティスの大幅な見直しを必要とします。異種のテレメトリデータを共通のスキーマなしで、互換性のない個別のオブザーバビリティバックエンドに分けて管理することは、非効率的であるだけでなく、ビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。 

統合データプラットフォームを基盤としたオブザーバビリティソリューションは、さまざまなソースからのデータを統合し、データ管理を簡素化し、迅速な分析を可能にします。これにSearch AI機能を組み合わせることで、ITチームはリアルタイムでのトラブルシューティングや、プロアクティブなアドホック分析を実行できるようになります。さらに、優れたインストルメンテーションやクラウドサービスデータのインジェスト、オープンスタンダードとセマンティック規約の順守により、一貫したデータ構造が実現され、平均修復時間(MTTR)の短縮が可能になります。最新のオブザーバビリティソリューションは、AI/MLを活用した強化された検索機能により、テレメトリーデータの量と速度に伴う負担を軽減します。これにより、イノベーションに集中し、顧客が期待するエクスペリエンスの提供が可能となります。  

チームが利用するツールの数を減らし、使われていないツールを整理・廃止することで、組織は限られたリソースでもより高い成果を出すことができます。結論として、ツールの統合は生産性の向上に寄与し、それがビジネスコストの削減や顧客エクスペリエンスの向上へとつながります。

オブザーバビリティのメリット1:Kubernetesやマイクロサービスの管理を可能にする

Kubernetesとマイクロサービスは強力で高い柔軟性を備えていますが、その分複雑さも増します。コンテナ化されたアプリケーションは頻繁に起動したり、スケールダウンしたり、別の場所に移動するため、問題が発生した際にその原因を特定し、解決するのは非常に困難です。 

このような複雑な環境で問題を診断するには、可能な限り多くの情報が不可欠です。最新のオブザーバビリティツールは、すべてのハイパースケーラーからデータを取り込むことで、コンテナのライフサイクル、サービス間の通信、スタックの各レイヤーにおけるログイベントなど、従来にはなかったレベルの可視性を提供します。この包括的なデータ収集により、IT チームは問題を迅速に特定・解決し、ダウンタイムを最小限に抑えると同時に、アプリケーションをスムーズに稼働させることが可能になります。AIと強力な検索機能を搭載したオブザーバビリティツールは、データをクラスターレベルからカーネルレベルの詳細なポイントまで関連付けることができます。これにより、運用効率の向上、開発工数の削減、拡張性の最適化、さらには支出のオブザーバビリティの回復といった効果が期待できます。

オブザーバビリティのメリットその2:サードパーティサービス、外部依存関係、ベンダーの可視性を向上

お客様のアプリケーションは、おそらくサードパーティサービスや外部依存関係に依存しており、その結果としてさらなる複雑さが生じています。これらの外部サービスは、多くの場合、異種で互換性のないテレメトリデータ形式を使用しているため、アプリケーション全体のパフォーマンスを一元的に把握するには、単一の集中型データストアにそれらのデータを統合する必要があります。

統一されたアプローチがなければ、外部サービスに関連するパフォーマンスの問題を追跡するのは、干し草の山から針を探すようなものです。ここで力を発揮するのが、オープンスタンダードと統一されたデータプラットフォームに基づいて構築されたオブザーバビリティソリューションです。さまざまなベンダー、情報源、プロバイダーから収集されたテレメトリデータを、1か所で統合・正規化し、効率的に分析することが可能になります。その結果、組織はすべての内部および外部コンポーネントのパフォーマンスを可視化し、スタック全体を効果的に管理・最適化できるようになります。データは民主化されており、AI検索機能を活用することで、誰でも自然言語で質問し、必要な答えを迅速に得ることが可能です。

オブザーバビリティのメリット 3: MTTR(平均修復時間)の短縮

クラウドは柔軟性を提供し、運用における敏捷性を求めます。継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)の実践により、クラウドコンピューティング時代におけるソフトウェア開発の俊敏性が確保されます。しかし、頻繁な変更や更新は、停止やパフォーマンス問題を引き起こすことがよくあります。この急速な変化のペースは、堅牢なフルスタックのオブザーバビリティの重要性を浮き彫りにしています。

DevOpsチームは、問題を迅速に検出し解決するために、環境全体をリアルタイムで可視化する必要があります。結局のところ、変更を迅速かつ確実に展開できるかどうかが、組織のイノベーション能力を左右するのです。オブザーバビリティのプラクティスをシフトレフト(運用段階で問題にパッチを適用するのではなく、開発プロセスに統合する)することで、組織は安定性とパフォーマンスを損なうことなく、高い速度を維持するためのプロアクティブなアプローチを取ることができます。オブザーバビリティのプラクティスをシフトレフトする一例として、OpenTelemetryインストルメンテーションを開発およびコーディングプロセスに統合し、オープンスタンダードに基づくベンダー中立のメトリクス、ログ、トレースを生成することが挙げられます。一貫性と統合性に優れたデータプラットフォームから始めることが、現代のオブザーバビリティにおける分析機能とAI機能の基盤となります。    

Search AIを活用したオブザーバビリティにより、チーム間でデータを民主化し(サイロ化に別れを告げる)、生産性を高め、時代を先取りしながら、さらに一歩進んで積極的に問題に対処することができます。AIはまだ初期段階ですが、ほとんどのクラウドネイティブ環境に根付いているので、オブザーバビリティソリューションはそれに追いつくことができるはずです。変化のスピードについて行くのではなく、先頭を走るのです。

オブザーバビリティのメリット4:ツール統合によるデータ統合

クラウド、サーバーレス、マイクロサービス、外部アプリケーション、コンテナ、ランタイム、イベント、ログ、トレース、メトリクスなど、デジタルエコシステムのすべてがデータを生成します。これらのデータは膨大であり、ITチームは障害の根本原因を特定するのに苦しむことがあります。このような状況は組織全体に広がり、多くのビジネス上の問題が最終的にはデータに起因していることがよくあります。

監視ツールの統合は、効果的なオブザーバビリティソリューションの一部に過ぎません。もう1つの重要な要素は、データを単一の統合されたプラットフォームに集約することです。この統合により、データから最大限の潜在能力を引き出すことが可能になります。最新のオブザーバビリティは、ここから始まります。最も高度なツールは、Search AI(検索AI)を活用して、データの検索と分析をより効率的に行えるようにします。この技術により、ユーザーは「未知の未知」、つまり、これまで存在すら認識していなかった問題を発見することが可能になります。

組織に適したオブザーバビリティソリューション

組織で最新のオブザーバビリティソリューションを検討する際、変化が避けられないことを理解することが重要です。特にテクノロジーの分野では、その進化が止まることはありません。たとえば、1~2年後にあるベンダーのソリューションを採用するために多くのリソースを投資した後、そのソリューションが新しいシステムと互換性がないことに気づくような事態は避けたいものです。独自ベンダーのサービスは最初は魅力的に見えるかもしれませんが、時間が経つにつれて多くのコストがかかるようになり、簡単に切り替える選択肢がなくなってしまう可能性があります。

オープンスタンダードに基づいて構築されたオブザーバビリティソリューションは、最終的に制御、カスタマイズ、創造性を取り戻すことができます。また、成功をスケールしても、それによって不利益を被ることはありません。

1つの統合プラットフォームへの集約は、最新のオブザーバビリティには不可欠です。信号疲労が軽減されることで、ITチームはMTTR(平均復旧時間)の短縮や根本原因の迅速な分析、そして状況の俯瞰が可能になります。問題が発生した際にその状況を即座に把握することで、DevOpsチームはシステム全体をより深く理解できるようになります。監視は、事後対応型の実践から、事前対応型でデータ主導のアプローチへと進化します。これが現代のオブザーバビリティの姿です。

* 『データ成長 世界全体(2010年~2025年)』 - Statistica.com、2023年

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