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Sprint: 店舗運営に役立つ検索

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  • 30,000人
    従業員数(全世界)
  • 321億米ドル
    FY2016の収益
  • 1,800店
    店舗総数

障害を数秒で解決

数日程度を要していたWebサイトから店舗システム、営業・マーケティングサポートなどにおける障害の解決時間を大幅に短縮。

6か月以内に黒字化

Elastic Stackによる運用1日目から安定したパフォーマンスと確かな価値を実現。導入プロジェクトの黒字化を6か月以内に見込む。

リアルタイムデータで事業を促進

小売管理と店舗運営アプリケーション、および何千台ものサーバーで稼働する数百のAPIからリアルタイムに取得したデータをElastic Stackで集約。200種類以上のダッシュボードで、ログやデータベース、メール、syslog、テストメッセージ、社内用/ベンダー用アプリAPIなど1日あたり30億のイベントデータを表示。

スプリントについて"ITの殻"を破る

スプリント・コーポレーション(以下、スプリント)は全世界に3万人の従業員と1,800以上の店舗、約6,000万件の契約者を抱える通信企業です。同社では、多数のアプリケーションが事業を支えています。カスタマーサポートからプロビジョニング、携帯電話販売まで、運用分野も多岐にわたります。こうしたアプリケーションは膨大な量のデータを発生させます。スプリントでは1日あたり約30億イベントのデータが投入され、50TBがリアルタイムに格納されています。以前、こうしたデータは切り離して格納され、事業に活用されていませんでした。

同社はこのデータを活用するべく、「デジタルトランスフォーメーション4.0」プロジェクトを立ち上げました。ElasticsearchKibanaBeatsLogstashからなるElastic Stackを導入したプロジェクトでデータを活用し、スプリント・コーポレーションは市場での競争力を高めています。

Elastic Stackの導入でスプリントは"ITの殻"を破り、データの活用による競争力強化を実現させました。小売店による実売数を示す販売台数指標や、販売パフォーマンスのインサイトが初めて事業部門や経営陣の目に触れ、アプリケーションパフォーマンスが組織と顧客にもたらす影響の大きさが理解されるようになりました。"技術関連"と見なされていた領域が、経営課題として認識されるようになったのです。

同社は5年連続、北アメリカのDow Jones Sustainability Index(DJSI)に選出されています。

店舗運営に役立つ検索

米国の通信事業大手、スプリント(NYSE:S)では、通信をはじめとするサービス品質の向上を模索していました。米国通信キャリアとして初めてワイヤレス4Gサービスの展開を手掛け、グローバルでもインターネットサービスを手掛けるなど開発/エンジニアリング/新技術導入で高い知名度を誇る同社は、特にイノベーションを重視しています。そしてイノベーションには、データが欠かせません。市場での競争力を高める鍵が、サイロ化された社内データの活用にあることは以前から指摘されていました。そこでスプリントはElastic Stackを導入し、イノベーションを実現させました。

Elastic Stackを導入した同社では現在、あらゆるソースから、あらゆるフォーマットでデータをリアルタイムに投入、検索、分析、可視化し、即時に共有して事業判断に活用しています。営業やサービス障害発生状況、ユーザーの使用動向など詳細なインサイトが提供されるため、各事業部門、ITチーム、経営陣まで全員が組織のパフォーマンスを監視しつつ、戦略的な判断をすばやく下すことが可能になりました。サービス品質の改善に加え、数日程度を要していたWebサイトや店舗システム、営業・マーケティングサポートなどあらゆる障害の解決時間も大幅に短縮されています。Sprint.comサイトで新規携帯電話の販売台数が急増するなど、売上も増やすことができました。

スプリントのElastic Stackストーリー

キーパーソン:スプリントの"ドリームチーム"

わずか2-3名の社員がサイドプロジェクトとして検討をはじめたElastic Stackの導入は、その後まもなく最も戦略的な全社的プロジェクトとして位置付けられました。

この旗振り役となったのが、テクノロジーアーキテクトとしてElastic Stackの導入を立案したステファン・ストレーベル氏と、エンタープライズサービス担当副社長のジョン・フェルトン氏です。スプリントのITチームを率いる両氏は、導入のビジョンを構想しただけでなく、革新のためのソリューション開発にも携わりました。きっかけとなったプロジェクトは2015年、スプリントの小売管理システムの1つで小規模な概念実証を行ったことでした。データが"驚くほど見える"ことに全員が衝撃を受けたといいます。ストレーベル氏は当時についてこう話します。「『全部見える!何だこれは!』という感じでした」 チームはElastic Stackを使った開発プロセスを開始し、その後まもなく本番環境へ移行させました。サーバー2台を使う運用への移行プロセスは、わずか48時間で完了しました。

現在は専任チームが発足し、同社の事業に有意義な進化をもたらす革新的なユースケースで次々に実装を行っています。

全員が開発、運用から事業までの幅広い理解と知見をもつ同チームで、チーフストラテジストを務めるスリーダー・ブサネリ氏は次のように述べました。「企業の中では、常にバランスのいいチームメンバーが揃うとは限りません。しかし、このチームのバランスは最高です。これほどの事業価値を短期間に導くことができた理由はそこにあります」

テクニカルな視座にとどまらず大局的な観点から取り組みを推進するITチームの姿勢は部門を越え、同社の事業部門の経営幹部からも高く評価されており、また着実な成果を上げています。

目標:サイロを破壊せよ

新規加入者の獲得と維持に直結しているのが、中核となるオンラインシステムと小売システムのパフォーマンスです。ところが以前のスプリントでは、データがサイロ化されていました。情報を"点から線へ"と読み解くことができなければ、改善のための変化をすばやく起こすこともできません。

そこでITチームはElastic Stackを既存のシステムと各種アプリケーションに実装しました。データの検索と分析、可視化をリアルタイムに実行する一元的なプラットフォームが構築され、サイロ化を克服することができました。

画像1:スプリント社のElastic Stackと補完アーキテクチャー

実装と同時に、APIのパフォーマンスや、レスポンスタイムといった重要な運用メトリックがすべて提供されるようになりました。完全な稼働も1か月以内に実現しました。ITチームはトラブルシューティングに役立つデータインサイト取得できるようになり、経営陣は顧客満足と売上の成長を予測的に導くパフォーマンスメトリックを把握することができるようになったのです。

こうしてチームは思い描いていたビジョン—"電気を通して、スイッチを点けるように"Elastic Stackを導入する、というビジョンを実現させました。

背景:レスポンスタイムの向上で顧客満足と売上を高める

ビジネスのリアルタイムな可視化は、企業競争力を維持する上で欠かせません。スプリントでは、3万人の従業員に向けた教育や動機付けのために、いつでも社のパフォーマンスに関するインサイトを活用することができるようになりました。経営陣だけでなく、営業から販売店の担当者までの全社員が成長目標と、迅速な変化のメリットを共有しています。問題を特定し、かつてない速さで変化を起こすことができるようになりました。

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Elastic Stackなどのツールは、会社のために、そして消費者のためになる変化をもたらします。競合他社と差別化を図るために『社外秘の企画』を編み出す必要はありません。システム内の問題を見えるようにし、数時間や数日でなく、数秒以内に対処すること。それが何よりの競争力になります

スリーダー・ブサネリ
スプリント・コーポレーション チーフストラテジスト

2016年末のブラックフライデーに同社のWebサイト、Sprint.comで重篤なレスポンス低下が発生しました。以前の体制であれば、根本原因の特定と修正に数時間を要していたレベルの障害です。しかしITチームは障害発生と同時にアラートを受け取り、問題を特定して速やかに解決しました。こうしたスピード感は、最高水準の顧客サービスや販売を維持する上で不可欠です。

スプリントのITチームは現在、サービス障害を予測的に解決し、多くのケースで数分から数秒といったすばやい問題解決を実現させています。ただちに問題を特定できることに加え、障害が発生する前に警告が生じたエリアの問題を予測的に解消することも可能です。売上動向にはオンラインストアと店舗型ストアの両方が密接に関わっています。したがって売上への打撃を事前に回避するためには、ネットワーク障害時間を最小限に抑えることが何より重要です。

店舗用システムの可用時間も改善されました。販売アプリケーションがクラッシュしても数時間後ではなく、落ちるとほぼ同時にオンラインに戻ります。ブサネリ氏はこう語っています。「店舗担当者も驚いていました。以前のITチームは『連絡が来てはじめて障害を認識する』状態でしたが、今では事前に店舗へ電話できるほどです。システムの重大な根本原因も多数判明しました。以前の体制では発見できなかった問題です」

画像2:Kibanaのアプリケーションダッシュボード

手法:パワフルな検索、分析、可視化技術

スプリントではElastic Stackとセキュリティ、監視、アラート、レポート、グラフといった有償オプションを併用し、構造化データだけでなく、非構造化データを事業に活用することができるようになりました。小売管理と店舗運営アプリケーション、および何千台ものサーバーで稼働する数百のAPIからリアルタイムに取得したメトリックとデータをElastic Stackでアグリゲーションしています。ダッシュボードは200種類以上あり、ログやデータベース、メール、syslog、テストメッセージ、社内用/ベンダー用アプリAPIなど1日あたり30億のイベントデータを表示します。

ストレーベル氏はこう表現します。「Elastic Stackがスプリントのマシンデータにもたらした変化というのは、Googleがインターネットにもたらした変化のようなものです」Elastic Stackを導入したスプリントでは、380億のプロダクションドキュメントも1秒で検索できるようになりました。毎秒10万ドキュメントをインデックスしているインスタンスもあります。

同社で最も重要な目標は、いつでも企業としてのパフォーマンス、特に売上関連のデータをわかるようにすることです。

たとえば、スプリントCEOのオフィスの壁には売上をヒートマップで表示するダッシュボードがかかっています。以前、ITチームでは理論上、24時間遅れとなるエンタープライズレベルのデータウェアハウジングツールを使用して売上の動向を把握していました。データを送信し、正しいテーブルに入れ、事業上の指標と関連付けるという長い手順が必要となるため、処理には36時間が必要でした。ところが、現在はわずか数秒で完了します。今では全社員に職務に応じたデータ表示権限が付与され、誰でも携帯電話販売台数の増減率(増加は緑、減少は赤で表示)を含む売上金額や傾向をリアルタイムに把握することができます。今後は、店舗別に対応顧客数と、社員の配置目標を可視化する機能拡張が予定されています。

スプリントの全米小売担当チームでは販売台数を左右する要因、たとえば店舗のネットワークレイテンシー、検索の平均レスポンス(ミリ秒単位)、Wi-Fiに接続している顧客数、販売ユニット数と、好調な店舗はどこか、といったデータをリアルタイムに追跡可能となり、店舗運営に活用しています。またデモ用のモデル機も15分おきに監視し、デバイスの使用状況や、販売台数に影響を及ぼす接続の問題などを確認しています。

ホールセールチームでは、複数のアプリケーションにわたってプロダクションログやアクティビティーレベルといったデータをアグリゲーションし、契約から有効化数、サービスレベルも多岐にわたる煩雑で膨大なBtoB取引の管理を簡素化させました。問題が起きた場合、以前はITチームを介して問題を解決するまで4-5日が必要でしたが、現在は数分で解決します。事前にBtoB取引パートナーにセルフサービスツールが提供されており、ITチームは技術的でコアな作業内容に注力できるためです。

Elastic Stackの導入は、顧客満足度にも貢献しています。同社はここ最近、カスタマーサービスのデジタル化を進めてきました。販売からマーケティング、サポートまでのあらゆるプロセスをスムーズにし、経費削減と成長の加速を実現させる狙いがあります。その中心となったのがElastic Stackを活用した新たなセルフサービスアプリです。顧客をデジタルチャネルに誘導し、アカウント管理や携帯端末、周辺機器の新規購入を行えるようにしたほか、サポートリクエストに迅速に対応しています。販売とマーケティングのダッシュボードでは、売上とデジタルエンゲージメントの主要な指標をリアルタイムに追跡し、迅速な対応を必要とする異常なユーザーアクティビティを特定することができます。

その他に、マーケティングチームが描いたユーザーエクスペリエンスモデルを元に、ITチームで実際のオンラインエスペリエンスを抽出し、期待値に一致しないデータを検出するといった取り組みも行われました。この結果、より優れたサービスを提供する目的でサイトデザインの再設計が行われ、コンテンツも刷新されました。ElasticsearchとKibanaを活用しなければ、こうしたオンラインエクスペリエンスの齟齬を発見することは非常に困難です。

成果:ITの可視化で、測定可能な事業価値を向上させる

フェルトン氏は次のように語っています。「スプリントのビジネスにおいて、コストは非常に重要です。その点、Elastic Stackは最高です。驚くような結果とイノベーションをもたらし、非常にコスト効率に優れています。

よくある数億円規模のシステム投資に比べれば一目瞭然です。システム投資では実装に数か月、価値を生み出すまで数年かかるのが普通です。Elastic Stackは確実に実装できて、初日、つまり最初の瞬間から、リスクがほとんどありません。何より非常に低コストです」 スプリントでは導入プロジェクトの黒字化を6か月以内と見ています。

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よくある数億円規模のシステム投資に比べれば一目瞭然です。システム投資では実装に数か月、価値を生み出すまで数年かかるのが普通です。Elastic Stackは確実に実装できて、初日、つまり最初の瞬間から、リスクがほとんどありません。何より非常に低コストです

ジョン・フェルトン
スプリント・コーポレーション エンタープライズサービス担当副社長

Elastic Stackの費用はスプリントのIT部門の年間予算のわずか1%程度ですが、オンライン売上を大幅に増加させました。同社で最も費用対効果に優れたプロジェクトです。技術的に大きく前進したことで、レスポンスタイムの最も遅いWebページの特定や、ユーザーからみて使いにくいページのコードの見直しが実現しました。サイトのパフォーマンス改善により滞在時間が伸び、売り上げも増加したのです。

ユーザー向けのセルフサービスデジタルツールでも機能拡張を実施し、Sprint.comを利用する顧客数は増え続けています。2016年5月、ITチームは同月のSprint.com訪問者とサイト売上を監視して注文処理で正常に動作していなかったコードを発見し、削除しました。この結果ユーザーの購入回数が増加し、カスタマーサービスでもSprint.comを活用したデジタルチャネルへの誘導が進みました。

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Elastic Stackの魅力は、制約がないところです。つまり、何でもできるのです。

ジョン・フェルトン
スプリント・コーポレーション エンタープライズサービス担当副社長

Elastic Stackの導入後、スプリントは新規デバイスやプロダクト、サービスパッケージやプロモーションをより早期にリリースできるようになりました。競合に比べ数日程度早いことも珍しくなく、市場で大きなアドバンテージとなっています。

ブサネリ氏は次のように語りました。「Elastic Stackで、スプリントは新境地を開いています」