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ライセンス変更に関する説明

最近発表したElasticsearchとKibanaのライセンス変更についていくつか質問をいただきました。FAQも更新されていますが、この記事は、誰がこの変更の影響を受けるかをよりわかりやすく説明する目的で公開されています。

  • オンプレミス、およびElastic Cloudのサブスクリプションをご利用のお客様への影響はありません。
  • 圧倒的大多数のユーザーに影響はありません。
  • Amazon Elasticsearch Serviceをはじめ、Elasticのプロダクトを入手し、サービスとして直接販売している事業者には影響があります。

Elasticは、Elastic製品を使用している、またはElasticsearchやKibanaを使ってアプリケーションを開発している方に影響しない変更を意図しています。Elasticはお寄せいただいた質問に基づいて継続的にFAQを更新しています。もしまだ解決していない疑問がおありでしたら、elastic_license@elastic.coまでお問い合わせください。

またこの記事を通じて、デュアルライセンスの仕組みについて明確に説明したいと思います。Apache 2.0によりライセンス提供されるElasticsearchおよびKibanaのソースコードは、Elastic LicenseとSSPLに基づくデュアルライセンス提供に移行します。使用するライセンスは、有償でご利用のお客様、ならびにユーザーが選択します。

  • SSPL - ご存じのとおり、現在、このライセンス下で数百万ものユーザーがMongoDBを使用中です。Elasticは、MongoDBを使用する数百万人の開発者にとって判断しやすくなるよう、このライセンスをオプションとして採用しています。SSPLはGPLに基づくコピーレフトライセンスであり、オープンソースが備える自由な特長を多数提供しますが、OSI認可ライセンスではなく、オープンソースと見なされていません。
  • Elastic License - こちらもおなじみのライセンスです。Elasticが手掛けるデフォルトの配布パッケージをはじめ、各種製品の直近3年間のダウンロード(何百万というダウンロード数)の90%以上で選ばれ、使用されています。このライセンス下でお使いのお客様、ならびにユーザーに関しては、何も変更されていません。Elastic Licenseはソース利用を可能とし、無料使用を許可するライセンスですが、SSPLに組み込まれているコピーレフトの側面を持ちません。Elastic Licenseは製品を入手し、サービスを直接販売する行為を認めません。具体的にはAmazon Elasticsearch Serviceのように、製品を再配布する、あるいはソースコードをハッキングして、サブスクリプションを購入することなくElasticの有償機能へのアクセスを自身に付与する、製品の修正バージョンを使用することを許可しません。

Elastic Licenseのこれから

FAQでも言及していますが、Elasticはこれまでのフィードバックに基づき、Elastic Licenseをさらにシンプル化する方法を検討しています。私たちの目標は、MariaDBが開発し、CockroachDBも使用するBSL(Business Source License)の精神と非常に多くを共有しています。CockroachDBは秀逸なブログ記事を公開し、このアプローチを採用した決断について「(拙訳)ビジネスのニーズと、のオープンソースへのコミットメントのバランスをとる上でこれが最善の方法と考えている」と説明しています。

OSIファウンダーのブルース・ペレンズも支持を表明しているこのBSLは、シンプルかつパラメーター化されたライセンスであり、各企業のニーズに応じてカスタマイズすることも可能です。BSLは“付加的権利”の各種パラメーターが満たされている場合に限り、コピー、修正、派生成果物の作成、再配布の権利を認めます。Elasticは、3つのシンプルな制約で製品使用の許可を付与する付加的権利を評価しています。3つの制約の内容は、次のとおりです。

  • ライセンスされた成果を利用して“サービスとしてのElasticsearch/Kibana”を提供することはできない。
  • ソフトウェアをハッキングして、サブスクリプションを購入することなくElasticの有償機能を有効化することはできない。
  • 製品のElasticブランディング、ならびに商標を削除、置換、秘匿すること(例:ロゴの置換)はできない。

その後一定期間、通常は3-4年で、5年を超えない期間が経過するとこの制約は消滅し、ソースコードは自動的にオープンソースライセンス(Elasticの場合にはApache 2.0)に切り替わります。

明確化のために付け加えると、BSLはOSI認可ライセンスではありません。

Elasticはこれをうまく実現するために時間をかけて取り組んでいます。つまり理想的には、無料機能と有償機能の双方をカバーし、かつ可能な限りオープンに保つライセンスを提供するという目標です。これは簡単ではありません。特に、コードが3-4年でオープンソースになる場合です。これを安全に達成できれば、Elasticの有償機能により大きな自由を持たせ、また単一のシンプルなライセンスに基づいてパッケージを配布できます。この目標は、苦労してでも挑戦する価値があります。具体的な事業者を思い浮かべる方もいると思いますが、ElasticもこのBSLが悪用されることを懸念しており、少しお待ちいただく必要があります。

仮に今後「BSLのアプローチがElasticに適さない」という判断に至った場合、Elasticは無料機能をBSLに基づくElastic Community License下に置き、有償機能をシンプル化したElastic License下に置いて分割することを検討する予定です。

ブログ記事でもお知らせしたとおり、次回リリースの7.11までに詳細を詰める予定です。ぜひ皆様のフィードバックをお聞かせください。貴社のユースケースでこのアプローチが問題なく機能するか、elastic_license@elastic.coまでお知らせいただけますと幸いです。