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デリーバリー:サードパーティロジスティクスの業務環境を強化

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  • 1 百万
    繁忙期の1日あたりの配送荷物数(単位:百万)
  • 50+
    荷物1個あたりの収集データポイント数
  • 4GB
    1日に収集される荷物データ(単位:GB)

意思決定を数分に短縮

Kibanaを活用することで、データをリアルタイムで可視化、探索できるようになり、業務の意思決定が迅速化し、サービス品質と業務効率の継続的な向上を実現。

配送網の効率は90%を達成

配送網のボトルネックをすばやく特定、緩和し、高レベルの輸送効率を維持して遅延を最小化。

柔軟なスケールとテスト

Elasticsearch Service on Elastic Cloudを使用することで、デプロイをシームレスにスケールしつつ、Elastic Stackの最新機能を手軽に活用。ITインフラの管理ではなくロジスティクスビジネスの拡充に注力することが可能に。

デリーバリーについて

2011年に創業したデリーバリーは、当初のラストマイル配送を中心とした事業から急速に発展を遂げ、現在はインド最大手のサプライチェーンサービスプロバイダーへ成長しています。同社は、広大な配送網と、19か所の自動仕分けセンター、数千か所の配送拠点、14,000台の輸送車両、21,000人の従業員を擁し、繁忙期には配送する荷物の個数が1日あたり平均100万個に上ります。

デリーバリーが卓越している点は、配送網のスピードを最適化し、インドの物流業界に革新を起こしているその手法です。同社では、Elastic Stackが生み出すインサイトを活用して、業界随一のコスト効率を実現し、中小企業から大企業、大手Eコマースプラットフォームまで10万社を超える顧客に迅速な配送サービスを提供しています。これらのインサイトは、デリーバリーの成功を左右する意思決定の時間短縮にも貢献しています。

Elasticを導入して以来、意思決定は常に30分以内に下されています。その効果は絶大です。コスト、収益、サービス品質など、当社のステークホルダーにとって重要なあらゆる要素が向上しています。

– カピル・バーラティ, デリーバリー共同創業者兼CTO

デリーバリーのElastic Stackストーリー

サードパーティロジスティクスの業務環境を強化

デリーバリーは、2011年に地域密着型の配送業者として創業し、当初はデリー郊外にあるグルガオンで食料品や花などの商品を配達するラストマイル配送サービスを事業の柱としていました。しかし、この事業への参入からわずか1か月後に、共同創業者たちはEコマースを取り巻くはるかに大きなビジネスチャンスに目を向けます。インドに芽吹いたばかりのEコマースに可能性を感じ取った彼らは、2011年半ばにこの分野で最初の顧客を獲得しました。このとき以来、デリーバリーは、配送サービスのスピードアップなど、Eコマースが抱える物流面の課題解決に力を注ぎ続けています。

スピードは、参入当初の最重要課題でした。購入者はもちろんのこと、販売業者にとっても配送にかかる時間は悩みの種でした。というのも、インドの経済は現金主義のため、販売者への入金は一般的に配達時の集金まで待たねばならず、配達の遅延は収益の遅延を意味したのです。

この問題を解決するには、配送網を丸ごと効率アップさせる以外にありません。デリーバリーはこの目標を、Elasticの支援を受けて実現させました。同社では、配送網から日々収集される何百万ものデータポイントの検索・分析・可視化を、Elastic Stackを利用して行っています。こうして得たインサイトをフルに活用して、配送のスピードと効率を継続的に向上するとともに、インドの物流の未来を今なお切り拓いているのです。

ビジネスとデータの爆発的成長

デリーバリーでは、業務を高いレベルで維持するために、配送網の状況を絶えずつぶさに把握する必要があります。そのため、すべての荷物のサイズ、場所、状態などのデータを現場から20秒間隔で取得しています。データポイントは同社の歴史とともに増えており、現在は荷物1個あたり50を超えています。同社では、これらのデータから配送網に関する知見を得て、効率向上に役立てています。

同社は当初、MongoDBでデータをインデックスし、分析していました。参入2年目に、1日の配達荷物数が500個から9,000個に増えると、データ量も著しく増加しました。それに伴い、データを細分化し、効率向上の新たなインサイトを導き出す作業は手間と時間が大幅に増えました。

共同創業者兼CTOのカピル・バーラティ氏は次のように語っています。「当社では普段から、さまざまなツールやテクノロジーを試しています。当時は、データの集約と探索を簡素化できるソリューションを探し始めていました。Kibanaをベースにしたダッシュボードをいくつか目にして、データまわりは全部Elasticに任せられるのではないかと感じました。実際、それからすぐに頼り甲斐のあるツールになりました。」

効率とスピードの向上

デリーバリーの最初のアプリケーションは2013年にリリースされました。Elastic Stack 2.xを使用して複数のカスタムダッシュボードを1つにまとめたもので、Eコマース業者が自社の荷物を追跡できるようになっていました。これらのダッシュボードは現在でも現役で活躍しています。販売業者が自社のすべての荷物の位置情報をリアルタイムで確認できるため、デリーバリーのコールセンターの負荷も軽減されています。

社内では、さまざまなダッシュボードを使用して、荷物や配送効率が追跡されています。デリーバリーのコントロールタワーチームは、Kibanaで作成したこれらのダッシュボードを通して、配送網で生じたボトルネックや遅延をすばやく特定しています。問題が見つかれば、関連データを視覚的に探索して根本原因を解明できます。

「Kibanaのおかげで、配送網内の状況をリアルタイムで逐一監視できます。どこか特定の場所で物流が停滞していることがわかれば、直ちに問題に対応し、お客様に予防的に通知することができます」とカピル氏は話します。

デリーバリーでは、同じデータを長期的視点で詳しく分析することで、配送効率の向上につながる糸口を探り出しています。配送ルートの最適化や繁忙期の適切な人員追加などへの活用が期待できます。

カピル氏によれば、「Kibanaが優れている点の1つは、技術的な専門知識がなくても使えるところです。当社のオペレーションチームは自前で複雑なダッシュボードを作成し、より的確な意思決定に役立てています。」

インテリジェンスとスケールの向上

デリーバリーでは当初、自社のクラスターを社内で管理していましたが、事業が拡大したことと相まって、インドの祭りが活況を呈する月には管理業務が困難をきわめました。このようなスケールとホスティングの問題に対応するため、同社は、Elasticsearch Service(当時はFound.noが提供。現在はElastic Cloudで利用可能)のアーリーユーザーに名乗りを上げました。このときより、デリーバリーとElasticとの関係は、同社の事業とともに拡大してきました。

Elasticsearchアーキテクト兼上級技術管理者であるカラン・アーガーウォル氏はこう振り返ります。「マネージドサービスに移行したことで、スケールの柔軟性が大きく向上し、コア業務に集中できるようになりました。何年かはAmazonのElasticsearchソリューションなど他の選択肢も検討したのですが、結局今日までずっとElasticsearch Serviceを利用しています。エキスパートによって運営されていますし、常にElastic Stackの最新機能を利用できるのが魅力です。」

デリーバリーは、最近実施されたバージョン5.xから6.5へのアップグレードで利用できるようになった最新機能から、一段と多くの価値を導き出しています。また、このアップグレードに伴ってデリーバリーのクラスターに専用のノードタイプが導入されたことで、メモリとCPUを最適化し、パフォーマンスを安定化できるようになりました。

同社では、荷物の位置データなどのデータポイントが1日に500万以上も投入されます。データは、Kafka StreamからLogstashによって収集されてElasticsearchクラスターに格納され、そこで、Kibanaのダッシュボードやカスタムアプリケーションによって処理されます。

Example architecture

トランザクション/イベントデータアーキテクチャー

Example architecture

ログデータアーキテクチャー

Kibanaは日常業務の管理と監視でも重宝されています。Elastic Stackが備えるセキュリティ機能を使用して、アクセスを許可するデータをユーザーごとに制御できるためです。デリーバリーではこの機能を活用して、データのセキュリティとプライバシーを確実に保護しながら、社内の全チームにとどまらず、Eコマース顧客にもKibanaを公開しています。

社内のチームは、Kibanaでさまざまなパフォーマンスメトリックを可視化し、Elasticsearchを使用して異常や傾向を探索できます。たとえば、配送網の効率が97%に低下していることがコントロールタワーで確認されると、各施設のパフォーマンスをチェックし、問題を特定できるまでデータのフィルタリングを繰り返します。Elastic Stack APIを使用して、可視化機能が埋め込まれたフロントエンドウィジェットを作成し、配送網の特定の要素を監視することもできます。

カラン氏はこう話します。「Elastic StackをサポートするAPIインターフェースとドキュメントが優れているので、簡単に試せますし、新たなニーズが発生しても、それに合わせた新しいウィジェットや可視化機能を短時間で作成できます。この分野でイノベーションを加速したい企業にとって、これ以上は望めないほど優れたドキュメントだと思います。」

ラストマイル配送から世界規模のロジスティクスプロバイダーへ

Elasticによるプロアクティブなサポートを受けて、デリーバリーはクラスターの健全性と安定性を最適化し、Elastic Stackの最新機能を活用し続けています。現在は、輸送・倉庫管理システムやマイクロサービスの監視とアラート、リクエストや相互運用に関するスタックトレースの可視化拡充を実現するために、Elastic APMの使用を検討しているところです。また、施設チーム向けのプラグイン型ダッシュボードを作成する手段としてCanvasの使用も検討しており、多様なユースケースのためにカスタムダッシュボードを作成する負荷を軽減したいと考えています。このプラグイン型ダッシュボードを採用すれば、各施設における荷物数などの変動がリアルタイムでわかる実用的な情報を一目瞭然の方法でオペレーターや管理者に提供できます。

「現在は、コントロールタワーで配送網のキャパや効率を予測できる体制を整えるべく、試用を重ね、機械学習などの新しい機能や製品を検討しています。たとえば、1つの拠点で業務が急増したときに、その後に他の施設で何が起こる可能性があるかを分析できるようにします」とカピル氏は話します。

機械学習で得られるインテリジェンスや達成できる効率性と、CanvasやElastic APMで期待できるユースケースを組み合わせることで、デリーバリーは、事業の拡大を進め、イノベーションを起こす能力を強化できます。デリーバリーではElastic Stackを活用して、リソース配分から次の施設の建設地まで、あらゆる局面の意思決定で精度とスピードを向上させるだけにとどまらず、他社が利用できるオペレーティングシステムやプラットフォームを構築し、ロジスティクス業界にさらなる変革をもたらす野心的プランも抱いています。

デリーバリーのクラスター

  • クラスター
    2
  • ホスティング環境
    AWSにデプロイしたElasticsearch Service on Elastic Cloud
  • ドキュメント
    Expressクラスター - 86,906,895

    Coreクラスター - 94,409,502
  • 投入レート(1日あたり)
    Expressクラスター - 平均470/秒、最大1000/秒

    Coreクラスター - 平均10/秒、最大50/秒
  • インデックス
    Expressクラスター(2つのエイリアスでグループ化された月単位のインデックス)- 29

    Coreクラスター - 15
  • クエリレート
    Expressクラスター - 平均270/秒、最大400/秒

    Coreクラスター - 平均10/秒、最大15/秒
  • ノードの仕様
    Coreクラスター:High CPU M5インスタンス×3。それぞれ8GB RAMと64GBディスクを搭載

    監視:High I/O Classicインスタンス×1。4GB RAMと96GBディスクを搭載

    Express: High I/Oデータインスタンス×4。それぞれ58GB RAMと1.7TBディスクを搭載

    マスターR4インスタンス×3。それぞれ4GB RAMと8GBディスクを搭載。Ml M5インスタンス×2。それぞれ4GB RAMと8GBディスクを搭載