ソフトウェアとテクノロジー

日鉄ソリューションズ株式会社 : 開発プラットフォームにElasticsearchを導入しプロジェクト活動を可視化

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ダッシュボードを構築

プロジェクト管理に役立つ

ダッシュボードを開発

リモートワーク にも活用

リモートワーク 環境でも

プロジェクトの進捗を可視化

100以上のプロジェクト

100以上のプロジェクトで

利用されることを想定

日鉄ソリューションズ株式会社について

日本製鉄の情報システム部門を前身とするシステムインテグレーターである日鉄ソリューションズ株式会社。製造業はもとより、流通、金融、公共など多彩な分野の顧客に対し、高いインテグレーション力により課題解決を支援。近年では、IT を駆使してビジネスを変革する DX 時代へ向けた取り組みとして、より深く長きにわたる顧客とのパートナーシップを築き、より抜本的な経営課題への対処や、新マーケットの開拓などを支援していこうとしている。

https://www.nssol.nipponsteel.com/

顧客とともに DX へ挑戦、社内の開発プラットフォームも革新

近年、様々な業種でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が進められている。そうした中で、顧客の IT システムを支えるとともに、顧客の DX 進展の将来像を語り、その実現に向けて挑戦、伴走できる「ファースト DX パートナー」となることを目指しているのが日鉄ソリューションズだ。DX に関連して、デザインシンキングやアジャイル開発、ローカル5Gといった数々の先進的な手法やテクノロジーにも取り組んでいる。そうした成果は、顧客システムはもちろん、自社内でも積極的に取り入れており、2020年4月にリリースした社内向け次世代アプリケーション開発環境「Tetralink」もその一つだ。

「2018 年下期頃に企画をスタートし、約 1 年半をかけて開発、2020 年 4 月にリリースしま

した」と語るのは、Tetralink の開発を主導した、同社 技術本部 生産技術部 アーキテクチャ&テクノロジーセンター(ATEC)の戸坂央氏。ATEC は、社内のシステム開発における生産性向上、品質や効率の改善を図る部署。活動の一環として開発プラットフォームを構築して社内に展開しており、その最新版が Tetralink となる。Tetralink には開発に役立つ多彩なツールがパッケージされており、各プロジェクトマネージャはその中から必要なものを選んで採用できるようになっている。

「Tetralink の開発では、これまで使ってきた開発プラットフォームより使いやすく、アジリティ向上に寄与するものを目指しました。例えばセルフサービス。リソースやプラットフォームは開発者が自分で定義できるようにしています。また、働き方改革を意識してリモートワークでも使いやすく工夫したほか、社内のノウハウや開発成果の共有を促進できるような仕組みを取り入れるなどしました。リリース以来、新規プロジェクトでの採用はもちろん旧プラッフォームからの移行も進んで、すでに160超のプロジェクトで採用されており、最終的には200を超えるプロジェクトが利用する見通しです」(戸坂氏)

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Elasticsearch を用い、自動的にログから進捗を可視化するダッシュボードを構築

Tetralink に取り入れられた数々の新機軸の一つに、「プロジェクト活動ダッシュボード」がある。Tetralink 上で提供する多彩な開発ツール、チャットツールなどのログを元に、開発の進捗状況を自動で分かりやすく可視化することで、開発におけるリスクや品質の管理に役立てようというものだ。

Tetralinkに取り入れられた数々の新機軸の一つに、「プロジェクト活動ダッシュボード」がある。Tetralink上で提供する多彩な開発ツール、チャットツールなどのログを元に、開発の進捗状況を自動で分かりやすく可視化することで、開発におけるリスクや品質の管理に役立てようというものだ。

「現場の声として、プロジェクト管理に必要な情報を整理してレポートする仕組みが欲しいという意見は以前からありました。報告が上がってくるより早く、ログから自動的に可視化するような仕組みがあれば、プロジェクトマネージャにとって効果的だと考えたのです」と戸坂氏は話す。

このダッシュボードの案は Tetralink の企画がスタートした当初から、プロジェクト管理の高度化を図る目的で盛り込まれていたという。そして、このダッシュボードを実装するために採用されたのが、Elasticsearch だ。

ダッシュボード担当のリーダー、ATEC の沈泰然氏は、以下のように説明する。「自動でデータを収集し、可視化するツールが欲しかったので、BI をイメージして探しました。考慮した要件はいくつかありますが、まずはより多くのプロジェクトで使ってもらえるよう導入しやすいことは必須でした。また将来的な展望として、プロジェクト単位だけでなく組織横断的な分析や、機械学習などによるプロジェクト管理支援機能なども検討しているので、そうした活用にも対応できることも念頭に置いて探しました」

こうした条件で探していたところ、Elasticsearch が有力候補として浮上してきた。プロジェクト活動ダッシュボードの要件を満たすことはもちろん、日鉄ソリューションズでは社内の新技術研究の一環として早い時期から Elasticsearch の活用を検討してきた上に、実際のプロジェクトでも数多くの実績があり、ノウハウが豊富にあるという点もポイントとなった。

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「さっそくElasticsearch を使ってみると、開発ツールなどの様々なデータを収集できる上に、可視化機能も使いやすいことが分かりました。Tetralink はコンテナ環境ですが、 Elasticsearch や Kibana にはコンテナイメージがあるので導入も容易です。また大規模環境でも実績があり、本格利用にも不安はありません。こうした理由から、採用を決断しました。社内にノウハウもあったため、スムーズに導入できました」(沈氏)

報告を待たず客観的なデータで進捗の把握が可能に

Elasticsearch を用いて実装したプロジェクト活動ダッシュボードは、プロジェクトマネージャに様々な情報を提供するツールとなっている。その一つが、リポジトリへのコミットや Issueの履歴など、まさに進捗状況を客観的に示すデータだ。

「こうしたデータを、ユーザーや利用時間帯などのデータも合わせて可視化しています。もし『進捗してはいるものの残業が多い』『コミットが週次定例の直前に集中している』といった状況であれば、プロジェクトメンバーの余力がなく、リスクが潜んでいる可能性があると考えられるでしょう。通常の予定や報告での管理に加え、こうした情報があれば問題の早期発見に役立つはずです。その効果を定量化することは困難ですが、より適切なプロジェクト管理を実践でき、ひいてはお客様により安定的なシステムを提供することにつながります」(戸坂氏)

自動でデータを収集し可視化するダッシュボードを構築する上で、導入しやすく、将来的な展望に対応する機能も備え、コンテナイメージが提供されていることなどから、他のツールを試すことなくElasticsearchの採用を決断しました

– SDCセンター 沈泰然 氏

そのほかにも、更新の多いファイルを把握したり、チャット内容の傾向などを見極めたりする機能もある。このうちチャットについての機能は、頻出ワードや発言・返信率などを可視化することで、プロジェクトの全体的な雰囲気や、コミュニケーションの活発さの推測に役立てることを狙っている。

プロジェクトマネージャにとっては、客観的にプロジェクトの状況が見えるようになる点が大きなポイントと言えるでしょう。生のデータから可視化するため、メンバーからの報告を待つことなく、どのような成果物が出ているか、コミュニケーションに問題がないかといった状況が分かるのです。2020 年のコロナ禍においては、メンバーと顔を合わせる機会が大幅に減りました。相手の顔が見えない、仕事振りが見えない状況では不安になりがちですが、ダッシュボードを通じて様子が分かるのは大きなメリットです。もともと Tetralink 自体、働き方改革におけるリモートワークや分散開発も想定して作っていたので、コロナ禍においても役立っています」(沈氏)

ATEC では今後、プロジェクト活動ダッシュボードの機能拡充を行いつつ、より多くのプロジェクトにダッシュボードを活用してもらおうとしている。機能面では、沈氏を中心に、プロジェクトマネージャたちのニーズを拾い上げ、反映していく方針だ。また、説明会などの普及活動についても検討している。

「現状では、まだダッシュボードの PR が足りていません。2020 年度には、コロナ禍におけるリモートワーク環境のサポートや、旧開発プラットフォームから Tetralink への移行支援などを優先せざるを得なかったのですが、コロナ対応が落ち着いたら、改めてダッシュボードの利用を促進させたいです。希望としては 100 以上のプロジェクトで採用してもらえればと考えています。多くのプロジェクトが利用すれば、それらの情報をさらに集約して全体の傾向も見えてくると期待しています。また、匿名化した上で開発ビッグデータとし、機械学習を応用した自動的なリスク検知など新しい形でプロジェクト管理の高度化に取り組んでいきたいです」

(戸坂氏)